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仕舞われる
突然の雨だった。
きみに仕舞われてしまった僕は、きみのうちがわで雨音を聴いた。
その音色はやわらかく、くぐもって、ぬるく湿っていた。
だって、ぼくはいつも外側にいるから。なにもかも、じかに当たるんだ。
でもそれは、悪くないことなんだ。
だって、ちょくせつこの世界に触れられるのだから。
きみのうちがわは冷たくはなかった。
適度な湿度に守られていた。平らで、清潔で、居心地がよかった。
ぼくはこんな気持ちで雨音に耳を傾けるのは初めてで、居場所を与えられてぼくは戸惑った。きみの温もりはもちろん、その不器用なやさしさも。
ぼくはそれに応えたくて堪らないきもちでいた。
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