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抱き入れる

とうとうあいつを俺のなかに仕舞ってやった。 あいつは絹で出来ている。柔らかく、誰の手にも馴染むあいつを畳んで入れた。 きみが濡れてしまう、汚れるから、ぼくはだいじょうぶだよと駄々を捏ねるやつを綺麗に畳んで招き入れた。 空っぽなうちがわは寂しかった。そう言うかわりに抱き入れた。 おしゃべりなやつがおとなしくなって、何を言い出すかと思えば、きみのうちがわはあたたかいね、と呟いた。まさに絹そのものの声だった。 俺は黙ってそれを聞いた。 雨が俺の表面を叩くのをじっと堪え、あいつが俺のうちがわで静かに安らいでいるのを感じながら、俺のきもちがどうやったら届くのかと考えていた。

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