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「ふふ、ふ〜ん♪ ふふ、ふ〜ん♪ ふふん〜ふ、ふふ〜ん♪」 「あら、葵人様。楽しそうですね」 「え、何がですが?」 「お気づきになってないのですね。クリスマスソングを鼻歌で歌っていらっしゃいましたよ」 「·····っ!」 自身の背丈の倍もあるクリスマスツリーに飾り物を付けていると、後ろにいつの間にかいた女中に、くすくすと笑われた。 「無意識に歌っていただなんて、恥ずかしいです·····」 「ふふ、それぐらい楽しみなのですね」 「はい! それはもちろん! ·····あ」 思っていた以上に声を張り上げ、女中が肩を震わせて笑っているものだから、さらに頬を赤く染めた。 昔からクリスマスは好きだった。それは、町がイルミネーションで彩られ、昼間のように明るいし、見上げるほど大きなクリスマスツリーには色とりどりの装飾がされていて、気分が高揚するほど見るのが楽しみだった。 こうして、飾り付けをしている時に鼻歌を歌うぐらいには。 そして、なんと言ってもクリスマスプレゼントが貰えることが何よりの楽しみだった。 兄と一緒に書いた手紙の通り、起きた時、枕元にプレゼントが置いてあった時は、今でも頬が緩んでしまうぐらいに嬉しくなった。 大きくなるにつれて、それは親が買ってきて、こっそり置いたんだと思っているけれども、まだどこかでサンタクロースが置いてくれたんだとも思っていた。 「さて、葵人様のお陰で、このツリーは華やかになりました。あとは、てっぺんに星を飾り付けるだけですね」 嬉しそうに言いながら見上げるのを、一緒になって見上げた。 街中で設置されているツリーよりはだいぶ低いけれども、男としては背の低い葵人では、目一杯背伸びしても全く届かなかった。 星を飾る瞬間が一番、心を踊らせるものなのに。 兄と共に飾り付けをしていた時もそうだった。自分が飾り付けするんだと、その場に飛び跳ねながら言って、今よりだいぶ背が低いのもあって、父に抱っこしてもらい、星を飾り付けしたものだった。 歳を重ねるにつれ、どんどん兄の背は高くなっていき、自分が置いてかれたような気分になったのもあって、それからは兄に率先とやらせていた。 それが自身の背で飾れなく、拗ねていると気づいたらしい兄は、使用人らにプレゼント箱を積み上げたような、ツリーに沿って螺旋階段を作らせ、誰もてっぺんまで辿り着くようにさせた。 その見た目が可愛らしく、楽しませたのもあって、より一層この季節が好きになっていた。

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