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第21話

「どうぞ」 「ん、ありがとう」 今日は俺がピノを寝かしつけて、雅美がその間に食器を片付けていた。 これが逆の時もあったりするけど、お互いたまにそのまま寝てしまう事もあったりする。 「もうすぐ半年かぁ。あっという間だね」 「はい……」 少し前、生後100日のお祝いをした時に撮った写真の入った写真立てを俺は見て言った。 一族の大切な場所で集まってくれた親戚、妖怪たちとの大人数の集合写真と、家族3人で写真館に行って撮影したピノひとりの写真。 最初は知らない場所に来てぐずっていたピノだったけど、撮影の時には笑顔を見せてくれて、写真館の人にお利口さんだねと褒められていた。 「どんどん可愛くなって、君にそっくりだなぁって思うよ」 「オレは繫さんに似て欲しかったっす。実家のやつらがオレに似てる似てるうるさくてうっとおしいんで」 そう言って、雅美はため息をつく。 確かに雅美の実家の人たちはピノが雅美に似てきていく事がすごく嬉しいからか会う度にその事を言っていて、本家の人の中にはうちの父親や母親に自慢するような言い方をしている人もいたりする。 俺は全然気にしてないし、親たちもそうだと思うけど、雅美はそれが恥ずかしいし申し訳ないと思っているようだ。 「けど、ピノが人も妖怪もみんなに愛されてるのは嬉しいっす」 「そうだね」 この半年で、雅美はお腹に浮かんでいた模様も消え、元の体型に戻っていた。 ただ、授乳はまだしているので胸の辺りは少し膨らんでいて、そんな風に思うのは不謹慎なのかもしれないけど、俺にとってものすごくたまらなかった。 「繫さん」 「ん?」 「こないだオレとピノだけで実家に行った時、本家の人がオレにあと3人は産めって言ってきたんすよ」 「そうなんだ」 実は俺も、雅美とピノがいなかったその時チロに言われてた。 『子供ひとりじゃダメだよ。雅美くん以外の人と結婚するつもりがないなら尚更そう。雅美くん、あと2回は赤ちゃん産めるからそのつもりでいなきゃ』 って。 確かに俺も三兄弟だったし、一族みんな子沢山な家ばかり。 分かってるけど、強要されるのは好きじゃないし、雅美にも強要したくない。 ……子作りする行為自体は好きだけど。 「オレ……繫さんとセックスするのは好きだけど、ピノの事を本当の名前で呼べるようになるまではきょうだいの事、考えられないっす……」 「うん、分かるよ。俺もそう」 抱きついてきた雅美を、俺は抱き締め返してキスをした。 「俺たちにあとどれだけ時間があるか分からないけど、今はとりあえずピノの事を大切に考えていこう」 「はい……」 薄らと頬を赤らめながら、雅美は俺に笑顔を見せてくれた。

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