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第16話 R18

 俺の身体は地蔵みたいに動かない。心臓の早鐘を打つ音だけが身体に響く。動け、逃げろ。はやく。 「抵抗しなきゃ可愛がってやるからよ」  じりじりと伏黒佐波人が近づいてくる。俺は後ろまで下がって、そのままベッドに倒れ込んでしまった。 「透けててえっろ」  シャツのボタンを乱暴に外される。このシャツは玲子が結婚10周年記念にと贈ってくれたものだった。それを赤の他人に触れさせている。それが嫌だった。だから、反射的に彼の手を振り払ってしまった。 「抵抗すんなって言ったよな?」  首を傾け俺を見下ろす。 「わ、悪い」  思わず飛び出た謝罪の言葉。何を謝っているんだ俺は。俺は被害者だぞ? 「んー。じゃあ許したげる。でも、保険かけとこっか」  ネクタイを解かれ、それが俺の手首に縫い付けられる。両手を上げた状態で、上から見下ろされる。そうして、シャツを肘の辺りまで落とされる。彼の舌がゆっくりと俺の腹を舐め上げた。俺と目を合わせて、蛇のように身体を這う。 「……甘」  濡れた唇を拭うと、彼は俺の臀部を撫で付けてきた。ベルトを抜きさると、スラックスを下ろしてくる。足首まで落とした後で、下着に手をかけてきた。上から揉みこまれる。正直、感じる余裕はない。男とこういうことをするのさえ初めてなのだ。しかも、まだ出会ってまもない相手だ。それに俺には玲子がいる。それなのに、こんな行為は許されることじゃない。 「や、めろ」  振り絞った言葉を彼は無視する。むしろ、火が付いたように俺の下着の中に手を入れて直に触ってきた。

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