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 少しだけ端にずれてしまったオレの唇を追いかけるようにクラドが探り当てて、小さくちゅっとリップ音を立てた。 「どうした?」  熱のこもったままの声で、ん?と促されるけれどこれ以上何をどうしていいのかわからない。  クラドに離れて欲しくない、もっと触れて欲しいと思うけれど、それを素直に口に出すのは恥ずかしくて言葉に出来なかった。  けれど、このまま何も言わなければクラドは確実に離れてしまうだろうから……  緊張しているから震える手はうまく動いてくれないけれど、なんとかクラドの手を取ってそれを頬に添える。そうすると離れかけたクラドの温もりが少しだけ戻ってきて、それだけで泣きそうになるほど嬉しい。 「さ、触って ください  」  小さく絞り出した声は届いているのか不安になるほどだったけど、暗い闇の中でクラドのぴんと立った耳が声を拾ってぴくりと動いたのが見えた。  これで、もう少しの間だけクラドが触れていてくれるのだと思ってほっと胸を撫で下ろしかける。 「 ────どこを?」 「あ……え?」  剣を握り慣れた無骨な手が頬を思いのままに撫でまわし始める、それはそれで心地よいものではあったけれど、中途半端に起立したままのソコが刺激を求めてひくりと震えた。  手は、頬以外動かない。 「の ど、も」 「それから?」  四角四面な声は、これがからかいなのか真面目な話なのかをわからなくさせて…… 「かた とか  」 「肩 」 「脇……ひゃっ」  告げたところは遠慮なく触れてくるのに…… 「む  」  胸 を、さっきみたいに触って欲しいと言おうとして言葉が詰まる。  それはさすがにはしたなすぎて、口を開こうとしただけで顔から火が出そうなほど赤くなるのがわかった。 「む?」 「ちが……あし あしを 」  慌てて言い換えると、クラドはやはり真面目ばった声で「そうか」とだけ返してオレの膝を抱え上げる。  足が空を蹴って、踏ん張ることのできない不安定さにもがこうとする前に、ちゅ と膝の辺りで再びリップ音が響く。親指の先に口付けられたのかと思うと、クラドになんてことをさせてしまったのかと言う焦りの方が勝ってしまって…… 「だめっ 足なんて、きたな  っぅ、あっ 」  足の甲を膝に向けて舐め上げられると、不意の感触に思わず大きな声が上がり、慌てて自分の口を押えて首を振った。  そんな場所、人が本来口をつけるようなところじゃないし、ましてや誇り高い騎士が舐めていいわけがない! 「汚くない、花の匂いがして……うまそうだ」  膝に触れるクラドのコシのある黒髪の感触と、柔らかな唇、それから真逆の固さを持つ歯が皮膚に当たって……

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