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白と銀と、七色の光の爆発に音だけでなく視界は真っ白に塗り替えられて……
雷に触れた慈雨の残りが小さくパチンパチンと拒絶の爆発を見せながら、大爆発を彩るのだとばかりにあちこちで音を立てていた。
◆ ◆ ◆
ざら とこちらに襲いかかってきた触手が塵になり、勢いのまま風だけが頬を撫でる。
「 ────っ ……は……?」
詰めた呼吸を一気に吐き出したせいか肺の底が痛みを訴えるように軋んだ気がした。
覚悟をして握り締めた折れた長剣がカタカタと鳴ったところで、俺を潰そうとした触手が消え去ったのだと理解することができた。
さらさらと頬を濡らしていく温かな雨を眺めれば、それが銀色の光を纏っているのがわかる。
「……はるひ?」
正常な考えならばこんなことができるのはかすがだろうと思わなければならないのに、その時俺の脳裏に過ったのははるひの姿だった。
指先に沁みた雨がじわりと広がっていくと、そこからさらりと瘴気に蝕まれた皮膚が人らしさを取り戻していく。
「清められているのか? この範囲を? ……どう言うことだ」
コツリ
まるでしっかりしろとでも言いたげに額に走った衝撃にはっと我に返ると、目の前をぱらぱらと何かが通り過ぎていった。
雨のように繊細ではなく、光のように脆くもないそれは……
「霰?」
少し大ぶりのものは当たればコツリと音がする。
けれどそのほとんどは小さな水晶のかけらのようで、肩に降り積もっても気づかないほど小さなものだ。
ぱらぱらと天から降り注ぐそれを見上げれば、光を纏って虹色にも見える銀色の雲から絶え間なく降り注いでいる。
コリン=ボサの象徴である銀を纏ったその様子は……
「 何が起きた……」
まるで夢から醒めたと言われたらその通りだと答えたかもしれない。辺りを埋め尽くしていた瘴気も、動物の皮を纏って腐臭をまき散らしながら動く魔物も消え去ってしまったそこは、まるで祭りの後のように騒がしかった痕跡だけを残した空間だった。
「 ぁ゛ぁ゛……ー……あ゛ー……」
微かにその静寂を破るのは本来の姿に戻った魔人が上げる悲鳴のような呻き声だけで、俺自身もそうだったが向こうに見える隊員達も何が起きたのかわからないままに呆然としている。
「ぃ゛ ぃ゛ 」
宝石のような霰が降る中、呻き転がり続ける魔人は先ほどまでの脅威に感じるほどの圧迫感はなく、苦痛に怯えるようにうずくまっていた。
「クラド!」
駆け寄ってくるダンクル……いや、兄を見ると手に光るものを持っている。
「これは、かすがか?」
「……そうでしょう」
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