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落ち穂拾い的な スティオンの立場

「は?」 「うちの一族ではままある話なんでまぁそこは割愛させてくださいね?」 「は?」 「それでまぁ、閣下がえらくショックを受けてしまってて」 「や、あの、すみません。割愛した部分を話していただけると助かります」  そう返してはみるものの……オレはなんて反応したらいいのかわからず、他に誰もいないもわかっているのに辺りを見て助けを求めようとした。   「ずっと長男だと思ってたら長女でして、うちは女が跡目を継ぐ家なんですよ。なので騎士を諦めざるを得なくなったと言うことです」 「んん⁉︎」  ふぅ とスティオンが背もたれに体重を預けると、胸が反らされたからかそのいはずみでぽよんと今にも零れ落ちそうなたわわなものが揺れる。  失礼だとは承知だけれどそれを見て、可愛らしい顔立ちを見て、すらりとした手足を見て……どこにも性別を間違えそうな要因がないことをなんと言ったらいいのかわからず、ましてやヒロが産まれた時の確認方法を思い出すとナニをどう間違えたのかわからなさ過ぎて頭の中は「???」ばかりだ。 「まぁそれで、負けてた閣下がショックを受けたらしくて、以降あんな調子ですよ?」 「あ、負け……ですか?」  クラドは自分自身の評価を低く見積もっているけれど、剣聖であるロニフの子供だし自身も研鑽を怠らない質だからその腕前は王弟と言う忖度部分を抜きにしても十分だった。  だからスティオンが自分で「将来有望だった」と言うなら相応の実力はあると言うことだろう。  けれど、クラドが負けるイメージが湧かず、やはり頭は「???」だ。 「あはは! 陛下とエルは無理でも私くらいには勝ちたかったようですよ?」  陛下が強いと言うことは聞いたことがあったので真剣に頷き返すも、宰相であるエルがクラドよりも腕が立つとは考えにくかった。  それがやっぱり顔に出ていたのかスティオンは片方の眉を上げて意味深そうな顔をする。 「鬣犬は男女両方に陰茎があるんですよ」  ぱちん と綺麗にウインクしてみせたスティオンとその後どんな会話をしたかは記憶になかった。  ヒロを寝かせるために低く響きのいい声で鼻歌を歌うクラドを見て……オレは一体何を思えばいいのか…… 「どうかしたか?」 「いえ……」  大公なのだから本来は子供の面倒は乳母に任せればいいものを、オレのわがままに付き合ってこうして一緒に子育てしてくれるクラドを見上げて、 「クラド様はかっこいいです! 素敵です! 一番ですからっ! 自信持ってくださいっ!」 「? あ、ああ、ありがとう」  オレは、とりあえず応援をしてみた。 END.  

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