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おまけ(3)
「ああ……慣らしてもいないのに入りそうだ。……どれほど自分でしたんだ? アル」
「や、やだ……言わないで、くださ……」
「ほら、勝手に……」
先端が蕾に引っかかると、そこはあっさりと先っぽを歓迎した。
生温い感触に襲われる。久しぶりの快楽に、ルークも思わず腰を突き動かしてしまいそうだ。
「ふぅー……アル」
「あっ、や、ルーク、さ」
先っぽだけを出したり挿れたり、ルークは意地悪なことに浅いところにしか刺激をくれない。ルークが入っているというだけで気持ちが良いけれど、やっぱりそれでは物足りないのだ。
「ルークさん、奥、奥まで……」
「奥まで?」
「奥、まで……挿れて……突いて、ください」
アルバラの言葉を聞いて、ルークはすぐに体勢を変えた。
アルバラを背中から抱き抱えて、背後に倒れる。アルバラがルークの上に乗ると、自然と最奥まで深く貫かれた。
「ひっ……! あ、」
「は、久しぶりだな、これも……アル、動いてみろ」
「う、あ、き、気持ち、い」
アルバラはビクビクと微かに体を揺らしながら、頑張って腰を持ち上げた。そうして、震えながらもゆっくりとおろす。正直、そうやって動くことで精一杯だ。気持ちが良いけれど、これ以上は早くは動けない。
ルークは気持ちよさそうに荒い吐息を漏らしていた。熱のこもった瞳でアルバラを見上げている。アルバラを欲しがっている。アルバラに欲情している。たったそれだけのことで、快楽が増して仕方がない。
「ルーク、さん……好き、です……あ、好き……」
体を繋げると、自然と気持ちも溢れ出た。
恥じらいながら腰を揺らし、全身をピンクに染めて、瞳を濡らして愛をささやく。そんな姿を見せられて、ルークも我慢の限界である。
アルバラの腰を強く掴むと、下から思い切り突き上げた。背を反らせたアルバラが快楽に追いつけないうちに、何度も何度も打ち付ける。
「あっ! ルーク、さぁ……! き、もち、ぃ」
「ああ、いいな……アル。ナカに……」
奥を突くたびにナカがうねる。射精を促すような動きがたまらなくて、ルークの腰も止まらない。
アルバラは体を強張らせて、必死に快楽に堪えているようだった。ルークの大きなそれが好いところを刺激するのだろう。涙をぽろぽろとこぼして快楽に溺れる姿に、ルークはますます昂っていた。
純粋で無垢な王子様は、こんなことをされても尚美しいままだ。
穢れたわけではない。それどころかさらに輝きを放ち、それまで以上に周囲を惹きつけるようになった。
時々、窓から鳥が入ってくる。それはアルバラの肩にとまり、アルバラはそれと会話をしているようだけれど、ルークには何をしているのかが分からなかった。いわく「何を言っているかは分からないけどお友達なので」とのことらしい。それ以前に人間の肩に鳥がとまるなどありえないことなのだが、ルークとこういう関係になってからはそういったことが増えたように思う。
アルバラは周囲を魅了する。みんながアルバラを欲しがるようになる。
忠告を受けたのは、イレーネからだった。
『アルはとっても特別な存在。あなたも気をつけてくださいね。あなたはこれからもアルに溺れるけれど、それは周りも同じこと』
イレーネは間を置くと、そっと優しく絵本に触れる。
『お姫様は、神様に愛されたがゆえに死んでしまいます。神様もお姫様が欲しくなってしまったから。……よく耳にしますよ、神様がアルを可愛がっているお声。今は私が居るために強引に奪うこともないようですが……気を緩めませんよう。あの子は今も、危険な天秤の上で生きております』
きっと今は、アルバラがルークを深く愛しているということもあり、我が子の幸せを見守る身としてはルークを引き離すこともしないのだろう。
しかし気は抜けない。相手は人知を超えた存在だ。どうすることもできる。
(……分かっている。たとえ、神が相手でも……)
ルークはもう、アルバラを離すことはできない。
「ルーク、さ、だめ、で、出ちゃう、ぅっ、あっ!」
「ああ、いいぞ。俺も奥に出す」
「あん、気持ちい、ルークさ、いい、気持ち、い」
何度も奥を穿ち、とうとうアルバラが白濁を吐き出した。ぴゅっと勢いよく飛び出すそれは、ルークのシャツをいやらしく濡らす。
その締め付けで、ルークも最奥で熱を吐く。快楽が突き抜けて、腰が震えた。堪えるようなその色気のある表情を、アルバラはじっと見つめていた。
「……ルークさん」
「……なんだ」
「格好いいです。世界一格好いい……。僕、本当にルークさんが好きです。足りないくらい。好きです」
まだナカに挿れたままで、アルバラは体を倒してピタリとルークに抱きついた。
こんな状況でそんなことを言われては、昂らないわけもない。射精したばかりのそこはすぐにぐっと固くなると、アルバラにも分かるほどにナカで大きく育つ。
「はぁー……馬鹿が」
「え?」
こんな存在を、易々と誰かに渡すものか。人知を超えた存在が相手でも引くつもりはない。
ルークが体を起こしたために、アルバラも向かい合って座る体勢になる。まだナカには入ったまま、奥を貫く快楽に、アルバラが微かに震えた。
「アル。もう一度」
ギラギラと、アルバラを欲しがる雄の瞳が訴える。最愛の男のそんな瞳に逆らうなんてできなくて、アルバラはキスをすることでそれに答えた。
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