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カラダの記憶①
前を弄られている間はまだアルコールが体内に残っていた事もあり、正直気持ち良さが勝っていた。
しかし彼が透明なローションを手に取り、そのまま指先が尻側に回されると、途端に恐怖が勝った。
「ちょ……早乙女くん、一旦落ち着こう!
そこは、挿れるとこじゃない!」
当たり前みたいに指を突っ込まれそうになり、慌てて防御に転じた。
すると早乙女くんはプッと吹き出し、そのままやや乱暴に指先をねじ込んだ。
普通ならばそんなの、絶対に痛いし不快に感じるはずなのに。
既に快楽を知ってしまっているらしき僕のカラダは、嬉しそうにその指を咥え込み、物欲しそうにぎゅっと締め付けた。
恥ずかしくて、目眩がする。
……なのに下腹部はずくんと疼き、僕のカラダははしたなく、もっと明確な刺激が欲しいと求めた。
「違わないだろ?こんなに、悦んどいて」
ククッと意地悪く、彼の口角が上がる。
しかしそんな表情すらも様になっていて、男の癖にやたらと色っぽい。
感じている事を揶揄されて、カッと全身に火が灯ったように熱くなる。
「また締め付けが、強くなった。
ほら、これ……好きだろ?」
中で指を曲げられ、自分でも触れた事のない場所を節張った男らしい指でトントンとノックするみたいに突かれた。
その度に僕のカラダはいやらしく跳ね上がり、敏感に反応を返す。
嫌だし止めて欲しいはずなのに、彼の与える刺激は信じられないぐらい気持ちが良くて。
なのにこれじゃ足りないと、全身が訴えているのを感じる。
すがり付くものを求め、小さく震えながら彼の背中に腕を回すと、早乙女くんは満足そうに綺麗な口元を歪めてクスリと笑った。
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