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招かれざる男②
「親しくないよ。高校の頃なんて、殆んど話した事がなかったもん。
再会したのも、つい一昨日だし。
なのに……」
余計な事を口走りそうになり、慌てて大きく首を左右に振った。
「あぁ、そうなんだ?
ならそこで、連絡先交換したって事ね?
そんで今から旧友を懐かしんで、合流する事になったと」
ん……?合流する事に、なった?
今度は僕の方が驚き、知之の顔を凝視した。
そんな僕を見て知之は、ワクワクしたように笑った。
「だって場所、確認されてたみたいだったからさぁ。
アイツもこれから、来るんだろ?
ヤバい、すげぇ楽しみかも!」
そう言えば今何処に、誰といるのかと、聞かれた気がする。
既に酩酊状態にあったからついうっかり素直に答えてしまったが、ここは彼の働く結婚相談所からも近い。
「……知之、出るぞ」
慌ててジャケットを手に取り、立ち上がろうとしたタイミングで。
……居酒屋の引戸が、ガラリと開けられた。
「あ、居た居た!って、何を帰ろうとしてんの?
……大晴、冷た過ぎ」
開いた扉から顔を覗かせたのは、言うまでもない。
僕の元クラスメイトにして強姦魔の天敵、早乙女 遼河である。
「ちょうど食事が終わったから、帰るところだったんだよ。
じゃあね、早乙女くん。一人で、楽しんで」
彼が当たり前みたいに僕の隣に腰を下ろそうとしたから、笑顔で応戦した。
しかし事情をまるで知らない知之は、満面の笑みを浮かべて早乙女くんの肩を持った。
「はぁ!?やだよ、まだ料理も残ってんじゃん。
それにせっかく遼河も、来てくれた事だし。
高校時代を懐かしんで、今夜は飲み明かそうぜ!」
ホント、コイツだけは……。さすがにそこは、空気読めよ!
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