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招かれざる男⑤

 タイミングを合わせたみたいに声を揃えて割と大きな声でそう叫ぶと、知之と早乙女くんはゲラゲラと腹を抱えて爆笑した。  ……なんだよ?それ。  そんなのがあったなんて、本当に初耳だ。  当事者であるはずの僕は、全く知らないんだけど。 「遼河は適当に遊んでたみたいだけど、お前は神聖なもんとして、恋愛対象からは完全に外されてたって事だろうな。  だから皆遠巻きに大晴を見てただけだったから、実際浮いた噂話のひとつも無かったワケだし」  ククッと笑いながら、知之は厚焼き玉子に箸を伸ばした。 「だろうな。あと鉄壁ガードの護衛騎士、君下の存在もデカかったかも」  ウンウンと頷きながら、早乙女くんも続けた。 「史織の、存在……?」  思わぬところで名の挙がった、幼なじみであり僕の初恋の人。  すると知之は、また可笑しそうに笑って言った。 「そうそう、史織ちゃんな!  彼女、自分に大晴の気持ちがあるとか全然気付かないまま、必死にお前の貞操を守ろうとしててさ……。  といっても鈍感同士、そのうちなんとかくっ付くだろうと思って、外野の俺らは一切口を挟まなかったんだけど」 「それな!まさかまだ、付き合ってすらいなかったとか……。  まぁ俺としては、ラッキーだったけど」  じっ、とまるで獲物を狙う肉食獣みたいな濃灰色の瞳を向けられ、ドクンと心臓が跳ねた。 「えぇ!?ラッキーって、どういう事?  駄目だよ!史織ちゃんはもう、結婚が決まってるんだから」  見事なまでに的はずれな、見当違いの突っ込みを知之が入れた。  だから僕はヘラヘラと笑い、早乙女くんの発言を冗談という事にしておいた。  テーブルの下、そっと握られた手。  それに驚き、その手を振り払ってガタンと席を立つと、大きな声で告げた。 「えっと……あの、ホラ、あれだ!  と……と……トイレ!」  まるで脱兎の如くその場から逃げ出すと、背後からはクスクスと笑う早乙女くんの声が聞こえた。

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