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愛だの、恋だの④

 すると桂木くんはフフンと得意気に笑い、嬉しそうに答えた。 「若手の女子社員たちと、なんと……飲み会をする事になりましたぁぁぁあ!!」  さっきの日和さんとのやり取りもあるから、あまり行きたいとは思えない。  お酒は強い方ではないし、最近は反省しなければいけない事ばかり起こしているから、本気で禁酒しようかと思っていたところだったし。 「へぇ、そうなんだ?  良かったね、桂木くん。  僕の分まで、楽しんで来てね」  これでうまく、断れたと思ったのに。  桂木くんは僕の手首をグッと掴み、真剣な表情で言ったのだ。 「他人事みたいに、言うな!  お前も数に、入ってる。  ……というか佐瀬は、絶対に連れてこいと言われてる」  その言葉に驚き、思わずブフォッと噴き出した。 「はぁ!?なんで勝手に、そんな事になってるんだよ!」    さすがにこれには、大きな声が出た。 「すまん、佐瀬!  だけどお前みたいな可愛いタイプが、最近の若い子にはウケが良いんだよ。  だから佐瀬抜きじゃ、この飲み会は成立せんのだ!」    そこまで言われて、鈍い僕でも気付いた。  これは間違いなく日和さんに、外堀から埋められ始めている。  ふたりではなく皆でと、社交辞令で答えたのを、逆手に取られた!  今までモテた経験がないから、突如訪れたらしきモテ期に困惑していると、桂木くんは両手の平を合わせ、拝むように頼んだ。 「ってことで、今週の金曜日は空けておくように。  いや……空けておいて、下さい。お願いします。  出逢いの少ない同期の野郎共を、助けると思って!」  心底どうでもいいと思ったけれど、僕は断るのが得意な方ではないから、しぶしぶではあったけれど結局その申し出を受け入れてしまった。

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