48 / 132
地獄の金曜日②
***
布団に入った後もずっと、途中で一方的に電話を切ってしまったのが気になり、結局ちゃんと眠れたのは明け方近くなってから。
起床時刻になり、恐る恐るスマホの電源を再びいれるとそこに表示されたのは、たくさんの着信履歴とメッセージの通知。
……どうしよう。絶対に、めちゃくちゃ怒ってる。
電話をかけ直す勇気は無かったが、とりあえずメッセージだけ確認する事にした。
『おい!お前、通話出ろよ』
『なんで電源まで、切ってんの?』
途中までは、脅迫にも等しい文字が並んでいた。
なのに徐々に弱気になっていき、最後は謎の謝罪で締め括られていた。
『……ごめん。そりゃ、そうだよな』
「……なんだ、これ?」
突然謝られたのも不思議だったが、いくら考えても『そりゃ、そうだよな』の一文の意味が分からない。
何が、そりゃそうなんだろう……?
困惑と、動揺をしながら食べた朝食は、なんだかほとんど味がしなかった気がする。
それは昨日の夜あらかじめコンビニで買っておいた、僕が大好きなツナマヨ味のおにぎりだったはずなのに。
***
ずるずると桂木くんに引きずられるようにして、半ば強制的に参加させられた飲み会。
当然のように僕の隣には、我が社のアイドル日和さんの姿。
愛らしい顔立ちをした彼女を前にしても、特に心が動くなんてこともなくて。
……僕の脳内を占拠していたのは、昨日の早乙女くんとのやり取りばかりだった。
彼女を狙っている男も多いと聞くから、面倒事には巻き込んでくれるなよと思ってしまう僕は、ちょっぴり嫌な男なのかもしれない。
ともだちにシェアしよう!