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僕と彼の関係②

 彼の事をギロリと睨み付けながら素早く身支度を整えて、何事も無かったような顔をしてソファーに座り、ふたりでさもずっとテレビを見ていたようなふりをしたのだけれど。  ……風呂から上がった知之は、不思議そうに聞いた。 「風呂、お先でした!って大晴、なんかお前、顔スゲェ赤くね?」 「えっと……そうかな?ちょっとこの部屋、熱がこもってるのかも」  ワケの分からない言い訳をしたら、遼河くんは笑いを堪えているのかふるふると肩を震わせた。 「ぼ……僕も続きで、入ってくるね!  遼河くん、お先!」  脱兎の如くその場から逃げ出すと、我慢の限界を越えたのか、遼河くんは腹を抱えてゲラゲラと爆笑した。  ホント、ムカつく! ***  僕が風呂から上がると、ふたりは知之が持ってきたらしきトランプで遊んでいた。 「ズルい!僕も、する!」  いい年をしたアラサー男子が集まって何をしているのだと、第三者が見ていたら呆れられてしまうかもしれない。  だけど僕はこれまで、こういった形で、複数の男友達と夜を過ごした経験がないのだ。  こんなの。……こんなの絶対に、参加したいに決まってる! 「俺はとりあえず、続きで風呂入ってくるから。ふたりで、遊んでて。  大晴。……いい子でマテ、しておくんだよ?」  ワシワシと、頭を撫でられた。  ……君こそ、ハスキー犬の癖に。  だけどそこで抵抗するのは子供っぽい気がしたから、その発言はスルーしておいた。  そして彼が浴室に向かうと、知之が嬉しそうに笑って言った。 「お前遼河と、スッゲェ仲良くなってるじゃん。  ……これまで大晴は、俺と史織ちゃんぐらいしか親しい人間がいないみたいだったから、なんかホッとした」    空気の読めないこの男にまで、そんな心配をされていたとは。  だけど遼河くんと僕の関係は、知之が思うようなモノじゃない。  だから僕はちょっと途方に暮れて、ただ曖昧に笑った。

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