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握らされた主導権①

 さらに足された、三本目の指。  これは彼を受け入れるため、僕の中を(ほぐ)すためだけの行為のはずなのに、快感が増していく。 「こら、あんま締め付けんなって……。  それだと、拡がんないだろ?」  呆れたように、笑われた。  なのに僕の弱点を知るその指は、容赦なく攻め続けるものだから、情けないくらい感じさせられた。 「声、我慢しろよ。  知之に、聞かれるぞ?」  ククッと意地悪く笑いながら、耳元で囁かれた言葉。  慌てて声を抑え、クッションを抱き締める僕。 「このタイミングで、更に締め付けて来るとか。  ……ホントお前、ドMだよな」    引き抜かれた、彼の指。  それが、寂しくて。……切なくて。  僕は泣きそうになりながら、彼の方を振り向いた。 「そんな顔しなくても、すぐにやるって。  ……もう俺のが欲しくて、堪んないんだよな?」  悠然と微笑みながら、さっき買ってきたばかりのコンドームの入った箱を手に取ると、遼河くんはそれを装着しようとした。  だけど少しでも早く挿れて欲しかったから、彼からそのカラフルな蛍光グリーンの小袋を奪い、封を開けた。  それに彼はちょっぴり驚いた様子だったけれど、僕の意図を察したのか、壁にもたれて座り直し、だらりと体を弛緩させた。  上は着てはいるものの、彼の下半身は剥き出しで。  僕の貧相なカラダとはまるで異なる、鍛え上げられた肉体。  無言のままひざま付き、彼のモノにそれを被せると、彼は意地悪くニヤリと笑った。 「で?こっから、どうすんの?」  ニヤニヤと、ゲスな笑みを浮かべたまま聞かれた。

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