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握らされた主導権②
正直なところ、この後の事は何も考えてはいなかった。
だってこれまではいつだって彼が僕をリードし、導いてくれたから。
だけど僕がコンドームを着けてあげたせいで、なんだかおかしな事になってしまった……ような、気がする。
「どうすんの、って。……どうしたら、いい?」
途方に暮れて、じっと彼の顔を見つめた。
すると遼河くんはサディスティックな笑みを浮かべ、僕の下腹に卑猥に指を這わせた。
「大晴の、好きにしていいよ?」
彼との行為の最中、いつだって僕は受け身だった。
さっき素股をさせられた時も腰を振るように言われ、それに従いはしたけれど、主導権は常に彼にあった。
だからこんな風に、好きにしていいなどと言われたら、途端に困ってしまう。
なのにカラダの方は、もう限界だった。
……彼が欲しくて、堪らない。
覚悟を決めて座る彼に跨がり、向き合った状態で自ら挿入の体勢をとった。
「いい子だね、大晴。
そのまま自分で、腰を落として……」
恍惚とした表情で、笑う彼。
僕はまるで魅せられたみたいにその言葉に従い、ゆっくりと腰を落としていった。
「下手くそ。そんなんじゃ、いつまで経っても逝けないぞ?
ほら、俺も手伝ってやるよ」
クスクスと笑いながら、腰に添えられた彼の手のひら。
そのままグイと下に強く引かれ、一気に一番奥を貫かれた。
「んっ......!」
自然と漏れた、喘ぎ声。
だけどそれ以上、彼は動いてはくれなくて。
……中途半端に与えられた刺激が僕を狂わせ、壊した。
彼の上。自らの意思で腰を振り、夢中で快楽を貪る僕。
すると頭を撫でながら、彼はいつになく優しく笑ってくれた。
それがとても、嬉しくて。
……僕も微笑んだまま、彼にキスを求めた。
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