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間違えた選択①

「お前なぁ……。このタイミングで、そんな顔する?  ……可愛いが、過ぎるんだけど」  軽く触れるだけのキスをするつもりだったのに、激しく貪られた。  僕のつたない動きでは物足りなくなったのか、荒々しく下からも突かれ、その度強い快感が僕を襲う。  あっさり達しそうになり、夢中で彼にすがり付いた。  すると彼はクスリと笑い、僕のお尻を下から手で支えたかと思うと、激しく上下に揺さぶり始めた。  逃げ場のない、快楽。思わず力が入り、彼の背中に爪を立ててしまった。  そのため慌てて手を離そうとしたのだけれど、彼は幸せそうに笑い、言ってくれた。 「良いよ、大晴。  ……お前になら、傷を付けられるのすら嬉しい」  その言葉に戸惑い、少しだけ理性を取り戻し掛けたのだけれど、そんなのは許さないとでもいうみたいにそこからは本当に、ワケが分からなくなるぐらいめちゃくちゃに抱かれた。  それこそキスで唇を塞がれていなかったら、悲鳴にも近い矯声が漏れていたに違いない。  ……家にはいま、知之だって居るというのに。 「りょ……がくん……!僕、もう……!」  震えながらも、逝きそうだと伝えようとしたのだけれど、きちんと言葉には出来ないぐらい僕は乱れに乱れていて。  ……彼に抱き付いたまま、与えられる刺激にただ酔い、溺れた。 「ん……俺ももう、そろそろヤバイかも。  だから、一緒に……な?」  ニッと笑うその表情は、彼の事なんてもう見慣れているはずの僕から見ても綺麗で、妖艶で。  こんな男が何故自分なんかに執着し、求めてくれるのかがやはり不思議でならない。  だけどそれを嬉しいと思ってしまう僕はきっと、もう彼の事を……。

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