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03-16.
「柑橘に似たものだって聞いてたんだけどな」
ジェイドは話と違うと眉を潜める。
「味は似ていると思うが」
レオナルドは首を傾げた。
遠慮なく袋の中に黄色の果実を詰められている為、ほとんど、赤色の果実は見えなくなった袋を眺める。
「似てねえだろ。酸っぱいのか、甘ったるいのかしなかった」
ジェイドは苦手だったのだろう。
赤い果実はなんとか口にできる程度なのだと言いたげな顔をしてみせた。
「そういえば、同時に食べれば味が混ざるとか言っていたな」
最後の一粒となった黄色の果実を睨みながら、ジェイドは真剣な顔をする。
子どものように表情がすぐに変わるジェイドの行動が気になったのだろうか。
「本当だと思うか?」
「情報源による」
「騎士団の同僚に聞いたんだけどな」
ジェイドの中では少々信用度が足りないのだろうか。
赤い実も摘み、食べるか、悩んでいる。
「レオナルドなら気に入るはずだから買ってみろって、しつこく勧められたんだ。……彼奴の言っていた通りになったのはむかつくな」
レオナルドは視線をジェイドに向けた。
……俺の好みを知っている相手に言われたのか?
すぐに思い当たるのは弟のアルフレッドだ。
しかし、ジェイドのことを酷く嫌っているアルフレッドがわざわざレオナルドの好みを教えるとは思えない。
……アルではないか。
アルフレッドならば、デートをする可能性を耳にしたのならば、実行する行動はすぐにわかる。海外にいるセドリックに対して急ぎの手紙を送りつけ、レオナルドの監視をさらに強めるように要請をすることだろう。
それならば、他に知っている人物がいただろうか。
レオナルドには心当たりがなかった。いや、思い出そうとすると頭が痛くなってきたので、考えるのを止めてしまった。
「レオナルドはどう思う?」
ジェイドはまだ悩んでいた。
「嘘だと思う」
レオナルドは即答した。
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