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02ー6
……アルはなにも言わなかったな。
アルフレッドは反対をしていたはずだ。
仕事を早退してまで駆けつけてきたのだ。両親の前であることを忘れたかのような振る舞いをしても可笑しくはないと思っていたが、実際は軽口を叩くだけで文句の一つも言わなかった。
「アルフレッドのことを考えているのか?」
「どうしてわかった?」
「そういう顔をしていたからな」
ジェイドは笑った。
レオナルドの視線が自分自身に向けられていることが嬉しいのだろうか。アルフレッドが反対をしないのは当然だというかのような顔をしながら、ゆっくりと足を組んだ。
「既に言い争いをした」
「……いつ?」
「昨日だな。騎士団本部で大騒ぎになったぞ」
ジェイドの言葉を聞き、レオナルドはため息を零した。
……そういうことか。
納得をしたわけではないのだろう。
しかし、アルフレッドの実力ではジェイドに敵わないことを思い知った。
「仕事の邪魔をしたのか」
レオナルドは申し訳なさそうな顔をする。
「気にするな。レオが悪いわけじゃない」
ジェイドはレオナルドの頬に腕を伸ばす。
「彼奴の気持ちもわからなくはない。義理の弟になるんだ。優しく教え込んでやったから安心しろ」
宝物を扱うかのように優しく頬を撫ぜる。
言葉だけ聞けば丁寧な対応をしたように思えるが、実際は力任せの説得をしたのだろう。いや、説得ではない。歯向かえないようにしただけだ。
「心配するな。手加減をしてやってるから」
「治療できる範囲で抑えてくれよ」
レオナルドもジェイドがしたであろう行動を理解している。
理解しているからこそ、喧嘩を売るような真似をしたアルフレッドの軽率な行動を恥じたのだろう。
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