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01-3.

「……写真?」  迷うことなく開けられた封筒に入っているのは一枚の写真。  セドリックも気になったのだろう。トムの後ろ側に回り、写真を覗き込む。 「父上。僕には焼けた跡にしか見えませんけど」  セドリックは迷うことなく声に出す。  写真を目にした第一印象はそれだった。  大規模な魔法の暴発が引き起こされた場合、周囲のものは全て吹き飛ばされて何もなくなる可能性が高い。以前、レオナルドが独自の研究の結果、突き止めた結果である。 「……違う」  トムの声は震えていた。 「これは、誰の部屋だ?」  トムの指摘に対して、従者は肩を大きく揺らした。  ……部屋だって?  セドリックはトムの言葉を聞いてから写真を凝視する。確かに元々の場所が部屋であったことを証明するかのような焼け焦げた本や寝具の一部と思われるものが映りこんでいる。  ……部屋で危険な実験をするような子ではないのだけど。  レオナルドは新しい魔法の開発実験に夢中になる悪癖がある。それでも、万が一の危険に備えて、万全の準備をしてから取り込むはずである。  自分自身の部屋で行った挙句に爆発させたことなど一度もなかった。 「ジェイド・サザンクロス公子の部屋でございます」  従者の声は震えていた。  それでもはっきりと言い切った。 「報告、させて、いただきますっ!」  従者の眼から大粒の涙が零れ落ちる。 「レオナルド公子、ジェイド公子、両名ともに死亡が確認されましたっ」  従者の言葉に耳を疑う。  ……は?  セドリックは理解ができなかった。  従者があげた名前は二人のものだ。  一人は七歳下の溺愛する弟、レオナルドのものであり、もう一つの名は懇意にしているサザンクロス侯爵家の嫡男の名である。  どちらも聞き慣れた名だった。 「レオが死んだ?」  セドリックは写真から視線を離す。

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