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01-11.

 ……僕のことを恨んでくれてもいいから。  恨まれてもいい。疎まれても構わない。  嫌いだと面と向かって言われてしまっても、セドリックは学院に行かせないようにするだろう。  ……レオが生きていてくれるなら、僕は嫌われてもいいよ。  レオナルドが生き残ることができれば、家族の運命は大きく変わるだろう。  不思議とそんな確信があった。 「おやすみ。レオ、アル」  セドリックはゆっくりと寝転がる。  また目を閉じる。  もう悪夢を見ることがないように期待をしながら眠った。 * * *  それはレオナルドが十二歳になった時に起きた。  ……悪夢だ。  十二歳の誕生日を祝う為に開催されたパーティだというのにもかかわらず、遊び足りないレオナルドは勝手に中庭に行ってしまった。  それをトムから聞かされたセドリックはレオナルドを探しに来ていたのだ。  そして、目撃してしまった。  ……ジェイド。  レオナルドはジェイドと共に居た。  会話の内容は聞き取れない。しかし、それは何度も繰り返して見ていた悪夢の中で登場する手紙の内容と一致する。  手紙の中で語られていた二人の出会いの話だ。  それを思い出してしまい、セドリックは動くことができなかった。  ……引き離さないと。  可愛い弟の幸せを考えなかったことはない。  好きなことに夢中になってしまうと食事や睡眠を後回しにしてしまう悪癖はあるものの、同じ年の友人とは友好関係を築いており、両親に連れられて領外に出ることが好きなレオナルドのことを大切に思う心は変わらない。  しかし、その交友関係さえもレオナルドの死を早めているような気がした。  ……そうだ。  何度も頭を過った計画の一つだった。  レオナルドの性格を考え、可愛い弟を苦しめたいわけではないのだと自分自身に言い聞かせることで実行せずにいた計画。  今では、その計画を実行することだけがレオナルドを救う方法であるとさえ思ってしまう。  ……閉じ込めてしまおう。  そうすれば、レオナルドはジェイドと関わることはないはずだ。  ……そうしなければ、レオは死んでしまう。  伯爵邸の中で過ごさせればいい。  伯爵領の中だけならば、セドリックが付き添いをする条件を付けて連れ出すこともできるだろう。  閉じ込めてしまえば、レオナルドを害する者を遠ざけることができる。 「――レオを守れるのは僕だけなんだ」  それが、レオナルドが伯爵邸に閉じ込められることになるきっかけだった。 <完結>

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