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酷い事した

幾ら優しくしても いつもみたいに懐いてこない でも されるがままだ 腹立たしい 嫌なら拒否しろよ! 無理矢理為たことないだろう? 俺切れた 無性に指しゃぶりを 辞めさせてみたくなった 「俊 指しゃぶり止めて」 口から指を離してみた 驚いた顔をしたがすぐに指を口に入れた 「俊!駄目だよ!」 口調を強めに為てみると ビッグとしたが 指しゃぶりをやめず 毛布に潜り込み一段と激しく 指しゃぶりをする なんなの? どんな恐怖があるのか… 追い打ちをかける俺 「何回言えば判る? 指しゃぶりは駄目だ!!!!」 怒鳴り声に変えた 毛布を剥がすと 俊はベッドから俺を避けるように這い出して 「ごめんなさい ごめんなさい なにか嫌な事したのなら  許してください」 異常に怯えてる 「俊?何が怖い?」 「…………怖い みんな怖いです」 「おいで 俊 俺だよ 温だよ」 俊は首を横に振り 「ごめんなさい ごめんなさい 声出さないから 口塞ぐから ちゃんと言うこと聞きますから もう喋りませんから」 ただごめんなさいごめんなさいと 大柄な俊也が体を小さく丸めながら 繰り返し謝る姿を見てられなくて せめて肌を隠してやりたくて ガウンを羽織らせるために近寄ると 咄嗟に体をよけ そして無理矢理笑う 「俊 俺のこと判る?」 「わかります 温ちゃんです 許してください」  ああまずい 俺まずい事してる 少しの沈黙のあと 俊也は突然話し始めた 「小さな頃からおしゃぶりや 指 後タオルとか口に突っ込まれて犯されてたんです 父親に犯され 母親は見て見ぬ振り 我慢すればすぐすむ 何も考えない 声出したり言葉を発すると 殴る蹴るがいつまでも終わらなくて  気づいたら自分から指しゃぶりを して口を塞いでいました 中学生になってからは知らない男が家に来て犯されていました 売られていたんです  もうこの頃は自分の意見?とか感情なんて何の意味も持たないって判りました 大人に俺の存在意義はセックスだけだと すり込まれてました 買った人のやりたい放題を黙ってさせれば必要以上に嫌なことはされない どうでも良かったから こんな行為 屈辱なんて感情…そんなの意味ないし 声を出すことはいけないこと 声を出さないことが自分を守る事だから だから今も…声出すのが怖い 親からは 高校の卒業式の日逃げました バカだけど自分の人生の事は考えていました セックスに取り込まれていたら それはそれで生きる道はあったでしょう でも 俺は違う道に生きたかった だから逃げた アルバイトしてたから幾らかは お金ありましたから… 何でもしました お金になるなら… でも体は売りませんでした ある日見た広告を頼りに訪ねた写真館で雑用係に使って貰って… それがカメラとの出会いでした  本当に頑張った  生まれて初めて楽しいって思えました  誰にも嫌な事されずにいられる毎日が 嘘みたいで カメラも教えて貰えたり 幸せだったです そして初めて好きな人が出来たんです 男性でした 優しくしてくれました それまでキスって気持ち悪いものでした 唾液でぐちゃぐちゃにされていたから でも 違ったんですね キスで心解れるんです セックスは犯されるものでなく 求め合いながらする行為なんだって 理解したけれど 悲しい事に 止めたくても止められなかった 指しゃぶり 声は出してはいけない だから指しゃぶりをしてた それが当たり前だったから それしか知らなかったから 指しゃぶりを止められて 自分の腕を噛みました 声殺すために血だらけになったりして 呆れてその人は離れて行きました だったらこんなセックスなんて しなくても生きて行けると思いました どうせ自分にはなんの価値もない事だから 人も好きにならない それで良かったんです 心は静かでした 仕事以外は要らなかった でも…でも 出逢ってしまった

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