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第4話
案の定、来店した俺たちを見た宿の主人はまともには受けとめかねるといった表情で俺たちを見ていた。
そりゃ驚くよな。
以前の友人の息子が奴隷の証である首輪を付けていて、その友人家族の奴隷だった男が綺麗に着飾って受け付けで部屋を予約しようとしているんだから。
俺はものすごく居た堪れない気持ちになった。今すぐにでもこの場を立ち去りたいが、俺の後ろには如何にも護衛ですって感じのゴツイ奴が二人いて、逃げ出したところですぐに捕まるだろうし、第一俺は首輪を付けているから逃げることなんて出来ない。逃げ出した奴隷の末路は耳に胼胝ができるほど聞かされていたしな。
ただ主人はまだこの事実を受け止め切れていないのか半信半疑といった感じだった。
だから俺はとりあえず主人と目を合わせまいと終始下を向いてやり過ごそうとしていたのだが、突然肩を抱き寄せられた。
「そうそう、こいつはつい先日買った奴隷でアイデンって言うんですけどね。見覚えありません?」
オリヴァーは悪い顔で微笑みながら爆弾を落としてきた。
俺は意想外の出来事に唖然とした。
この野郎俺がやり過ごそうとしていたのを見透かしてわざと言ったんだ。
そうとしか考えられない。
「えっと、君は本当にアシュレー伯爵様のところのアイデン君なのかね」
まだ信じられないと言った様子の主人は確証を得ようと俺に聞いてきた。
俺はただ無言のまま頷いた。
「没落したとは聞いていたが、まさか君が奴隷になるとは。その上彼が主人だとはね……」
主人はただただ俺をひどく哀れな可哀想な人を見る目で見てきた。
その眼差しはより俺の自尊心を奪っていった。
それを見ていたオリヴァーは満足げに部屋の鍵を取ってすたすたと歩いていく。
俺も主人と話したくなくてこれ以上の醜態を晒したくなくて逃げるように後を追った。
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