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第3話
という過程を経て、俺は強制的にオリヴァーの奴隷にされてしまったわけだ。
抵抗虚しく馬車へと連行され、今現在はオークション会場から幾つかの街を通ってたどり着いた小さな街にある高そうな宿屋に着いたところだ。
宿の前に止まって凝視すると、昔から家族で旅行に来てはこの宿に泊まっていたことを思い出した。
その時にはあいつ――オリヴァー・ネヴィル――も俺の召使いとして同伴していた。
あいつはそれを覚えててここを選んだな。ここの主人はうちの家族と仲が良かった。というより、主人がうちの親父に媚を売っていただけなんだけど。まぁそれもうちが没落するまでの話だけどな。
オリヴァーはここで奴隷になった俺と主人になった自分を見せつけたいんだ。
俺たちのことを知っている主人だからこそ見せつけ甲斐があるのだろう。
見せつけて自分は優越感に浸りたいんだ。それと同時に俺に屈辱感を味あわせたいんだ。
「…クソ野郎」
下劣な思惑を悟った俺は前を行くあいつを睨みつけてそう愚痴った。
それが聞こえたのか、うっすら笑みを浮かべたのが後ろからでも見えた。
ゲスが。
「何をしている。さっさと来い」
オリヴァーの数歩後ろを睨みつけながら重い足取りで歩いていたら、先に宿の入り口に着いた奴に急かされた。
上から目線で命令するあいつに苛立ちを覚えたが、何もできないので小さく舌打ちをして小走りで駆け寄った。
もちろんにらみを利かせるのを忘れずにな。
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