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新婚初夜

 熱い息を紡ぎながらアキは答えて、項をなめ上げる。  何度も中に出されて、快感に咽び泣いて意識が混濁して、「もっと」と泣いて……。  気がつくと広い室内に一人で眠っていた。 「……アキ?」  呼びかける声は掠れている。身体はだるく起きあがって腰の痛さに呻いた。  さらさらと着心地のいい寝巻を着せられている。明け方近くに一緒にシャワーを浴びたのは覚えているが、寝巻を着た覚えは無かった。  呼んでも返事は無く、ベッドから起き上がって寝室からリビングに繋がるドアを開いたがそこに姿は無かった。  ああ、遊びだったのか。  リビングの机の上には、『よく寝ていてから起こさなかった』と書かれたれたメモが置いてあった。昨日着ていたスーツは皴にならないようにソファーにかけてあり、新品の下着も一緒に置かれていた。 時計を見れば朝の7時。車は駐車場に入れたままになっているから、一度家に戻っても急げば仕事に間に合う。  だるい身体と痛む腰を押さえて着替えを済ませると部屋を出た。フロントに向かうが、支払いは済ませてあった。

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