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第37話

 耳許で甘く囁く。  ズボンの上からを軽く撫でられた。  吃驚して「あ」と小さく声を上げたが、それだけでは済まされなかった。  イオの手は器用に腰で結ばれていた紐を緩め、下衣ごと少し下げられてしまう。  それと同時に耳許にあった美しい顔は離れていく。  見てる……っ。   「やっ」  イオが何を見ているのか。  月光に晒された、自分の昂りだと分かり、自由になった両手で隠そうとする。しかし、それよりも早く、彼の手が直にそれを遮った。  にイオの体温を感じる。  両の手で包み込み、ゆうるりと上下に何度も()き来させる。 「!」  どうしたらいいのかわからず、ぎゅっと眼を瞑った。  何もかもが初めてだった。  それでも肉体(からだ)は反応する。  全身がざわざわしてくるような。  腹の辺りが甘く痺れるような。  そんなものを感じていると、自分の昂りから何かが滲み出た。  それを塗りつけるようにイオが擦る。  くちゅくちゅっと。音がトールの耳にも届く。  それに煽られたように。 「ふ……っ……ぁ……」  自分の口から甘い吐息が溢れるのも恥ずかしい。トールは両手で口を塞いだ。 「……口、押さえないで」  イオは言うが、眼を瞑ったままトールは首を横に振った。  すると。  に触れる感触が変わった。  手ではない。  え……なに……。  もっと湿った温かいものに包まれている。  そおっと眼を(ひら)いて見ると、イオがを口に納めていた。 「や、イオ、やだ」  涙目になって訴えた。イオが口を離してくれたので、ほっと胸を撫で下ろす。  しかし、それもつかの間。  舌を出し、獣のようにぺろぺろと舐め始めた。  トールに見せつけるように。 「イ……オ……っやぁ……あぁ」  視覚と触覚で攻められ、拒む言葉も喘ぎに変わる。 「はぁ……んん……っ」  トールが快楽に身を委ねたのを感じ、イオの眼が満足げに細められる。  もう一度、それを口に含んだ。軽く噛んだり、強く吸い上げたり、口にしたまま愛撫する。 「いおぉ、なんか……なんか、へん……なんか、でる」  自分の身体の変化に気づいた。 「子種だ──私の口のなかへ」  少しの刺激も耐えられないのに、そこで喋られては堪らない。 「あぁぁっんんっっ」  高い声と共に、イオの口のなかへと吐き出した。 「はぁはぁ」  全て吐き出して、荒い呼吸を繰り返す。  イオの喉許が動いているのが見えた。を嚥下しているのだ。 「う~~~」  言葉にはできないが、その眼がイオを責めていた。  無論、本人は動じない。 「お前のものは全て私のものだ」  

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