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42.甘イキ***
「はぁ…」
熱い息が漏れる。
じゅん、と股の間が濡れるのを、鼻の利く獣人が気付かないわけがない。
クゥンと鳴いて、獣がハルを見る。
「っ、なんでもない…すぐ収まるから、ほっといて…」
若者の性欲は無尽蔵だ。
連日求められ…
つい数刻前も風呂場で絆された後だというのに…
身体は勝手に"運命の相手"へ開いていく。
でも、いつも"最後まで"はしてくれない。
だったら…
しないほうがマシだ。
「やっぱ、おまえ部屋戻って……今夜はひとりで寝る…っ」
口ではそう言っているが…
置いていかないで。
ひとりにしないで。
"つがい"を求める身体が、寂しがっている。
獣はクゥンと鳴いてハルに頭を擦り付け、ハルの口元を舐めようとする。
「んっ、、っ、」
夕食時のアルコールが残っている。
そして眠気。
…正常な判断が、できない。
またぐらに鼻を寄せられ、ふんふんと嗅がれる。
「ばか、嗅ぐな…!」
オメガの愛液。性の匂い。
発情期のそれと違うが、それでも。
オスを誘い込む、いやらしいにおい。
「や、めてっ、て、ほんとに…!っ〜〜♡♡」
自分一人でこんなに乱れて…
いつの間にか人型になっていたユキが、ハルの寝巻きを脱がそうとしていた。
「お風呂でシたのに、まだ足りないの?」
「ん、、ん、ぁ…!」
柔らかいテノールボイス。
寝巻きをはぎとられ、
はだかの胸に、ユキの手が伸びる。
「あ、、…う、、、♡はぁ、はぁっ」
快楽を求めて胸を逸らす。
綺麗に手入れされた桜色の爪の指先が、ハルの平らな胸をゆっくりと撫でる。
胸の輪郭を、ゆっくりと。
中心には触れない。
「ぁ、…、、♡♡」
ちくび触って。
いっぱいきもちよくして。
肝心なところには触れず…
焦らされている。
「あ、やぁ……ッ♡♡」
快楽を欲しがるハルは胸を反らし、
ゆぅるりと撫でるだけの指先を迎えにいく、無意識に。
「ハル、焦らされるの好きだもんね」
「んッ…♡ぅぅ、…っっ、、♡♡♡♡」
「ちくび触ってほしい?」
「…ぁ………」
撫でるだけだった手のひらが、つんと胸の尖りに触れる。
「ッ!ま、まって、やさしくして…」
「?」
「おまえがすげえ触るから腫れて…痛いかも…」
「乳首できもちよくなりたいけど、腫れて痛むから優しく触ってほしい、と」
「っ〜〜〜〜!!」
図星を突かれて、恥ずかしすぎる。
「じゃあ舐めたらいいかな」
ぺろ、
「ア!あ、ぁ、ッッ!!」
芯を持ってかたく尖った乳首を、長い舌先でコリコリ舐められる。
ちゅぷ…ぴちゃ……
「吸わなァ……ぃ、で、ッッ!!」
すぼめた唇でちいさな乳首を吸われると、腰が浮くほどきもちいい。
たまらず、ハルはユキの頭をかき抱く。
それが"もっと"という意味だと自覚せず。
ちゅ、ちゅぅ、ちう、ちう、、
「ゥウ♡ぅ、うぅぅ、あ…!はぁ、はぁ、」
休む間もなく舐められ、吸われ…
もどかしい刺激で、頭がおかしくなりそうだ。
「なんか、おっぱいおっきくなった?」
「あ、う……」
発情期前になるとホルモンバランスが急激に変化し、プロゲステロンという黄体ホルモンが多く分泌されるようになる。
このプロゲステロンには、排卵後に子宮を妊娠しやすい状態にしたり、乳腺の発達を促進する作用もあるため、これが胸の張りや痛みの原因にもなるのだ。オメガの通常サイクルで、年に数回発情期を迎えるハルは、それを経験から知っている。
「発情期近いと、胸張ってくる……、ッ」
「そうなんだ」
もうすぐ発情期が来る。
発情期が来たら……
そう考えただけだ、運命の番を欲しがる身体が反応する。
ぞくぞくと尻の奥がうずく。
身体の熟期が近いことを他人に告げるオメガの恥じらいと覚悟を、アルファであるユキは見当も付かないのだろう。オメガの身体的生理現象を「そうなんだ」とごく淡白に受け止めて、すこしふくよかになったハルの胸の感触を楽しみ「おれが揉みすぎたせいかと思った」と言った。
「揉むとさ、おっぱいおっきくなるって言うじゃん」
「っ、っ♡おまえが巨乳好きとは知らなかったな…、、ァ、!ちょっと痛い…んっ、ん…!」
恥じらいを受け流されて、ハルは憎まれ口を叩く。
「きょにゅうとかどうでもいいし。おれはハルのおっぱいが好き」
「そりゃどーも…!ぁ、ふ、ぁ、、っ!」
「やわこくて、かわいい」
「ん、、んぅ、、、!っ」
「こっちの、心臓があるほうがすこしおっきい?」
「…そう、かも、、っあ、ばか、あんま吸う、、なっ、〜〜〜〜!!!♡♡♡」
胸をさも愛しいものであるかのように扱われ、揉まれ、吸われ。
乳首での甘イキを繰り返しながら、会話する。
(会話の合間に喘がされるなんてどんな羞恥プレイだよ…!)
(はやくいっぱいきもちよくして)
(なにもかんがえられなくなるくらい…!)
「ぁ、あ、ァ、ゆき、ゆきィ……」
切羽詰まったハルの声に、ユキが反応する。
「なに?」
「やさしいのばっかりヤダ……」
「(笑)なに?」
「もっと、ぎゅってシてぇ……は、、ァア!!!」
ねだった直後、乳首をきつくつねられる。
ユキのぬるついた舌で与えられていた、柔らかく焦ったい刺激と違う『刺すような、痛みに似た快楽』にもだえ…
痛みさえ快楽に変わり…
「ぃ、、、……〜〜〜〜〜!!!!」
乳首だけの刺激で、ゆるく絶頂するハル。
「ほんとおねだり上手になったよね…」
「ア!ァァ、ア、あ……、〜〜〜〜ッ!!!」
胸の尖りを、指ですり潰すようにいじめられ、続けて二度、三度とイッた。
連夜の戯れにより、精巣はカラだ。
何度乳首で絶頂してももう精液は出ない。
そのかわり、後ろの穴がひどく切なかった。
身体が高まれば高まるほど、後ろから止めどなく愛液が溢れ"雄"を欲しがる。
ハルは泣きながらユキを引き寄せ、接吻をねだる。
舌を絡め、シーツの海を泳ぐ。
(はやく、もっと………!!)
ユキはあぐらのうえに向かい合ってハルを乗せ、対面座位の格好で身体を跨がせる。
「!!」
ユキのあぐらのうえで股を開かされたハルは、恥ずかしさで死にそうだ。
足を開いた拍子に、濡れそぼった尻穴から愛液が垂れた。
「ぁ、漏れちゃ…!!」
慌ててハルがユキのあぐらから降りようとすると…
深くキスされる。
「〜〜〜〜!♡♡♡」
ぐちゅぐちゅと舌を絡められる。
うごめく舌の動きに必死で合わせて…
ぎゅぅぅと乳首をいじめられ…
ゆるく勃ったペニスを扱かれ…
押し寄せる快楽の波についていけない。
(そんな、、急に、、、!!)
キスで溺れるハルは自分の尻からだらだらと愛液が垂れ、ユキの膝を汚していることに気付いてはいたが、どうしようもなかった。
ただ、快楽に溺れ、何度も深く深く絶頂する。
「〜〜〜〜♡♡、、〜〜…♡」
初めてディープなキスをしたときは何度も歯がぶつかってしまい、しかもユキの歯はほとんどが鋭い犬歯なので、舌を絡めているといつの間にハルの舌のどこかが切れて血の味がしていたものだが。
いまではキスが上達し、ユキの鋭い犬歯をうまく避けることができる。
乳首やキスで絶頂するたびに子宮がキュンキュンと鳴いて、オスを欲しがっている。
過緊張してぶるぶると痙攣する尻たぶを、鷲掴みにされる。
強く揉みしだかれると、その奥にいる子宮や前立腺へ刺激が伝わり…
きもちよくなる。
キスの嵐は止まない。
左右の尻たぶを揉まれると、股の間で愛液がぴちゃりぴちゃりと卑猥な音を立てる。だらだらと溢れて、ユキの膝を汚す。
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