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84.つがいのかたち***
「はぁ……っ、は……っ」
解放された身体が、ベッドに沈み込む。まだ荒い呼吸を整えきれないうちに、ユキがそっと手を伸ばし、ハルの腕を引いた。
「ふぁ……っ♡♡」
次の瞬間、ユキの腕に軽々と抱き上げられる。
気づけば、彼の腰へと跨がされていた。
対面座位——この体勢では、足を閉じることすら許されない。
深く重なる唇。絡み合う舌。
蕩けるようなキスの合間に、ユキの指がハルの腰を導いた。
「……っっっ!!」
すでに何度も果てた身体は、力を失っている。
それなのに、ただのキスで絶頂してしまいそうだった。
がくがくと震え、崩れ落ちそうになる。
だが——
「あ……っっ!!」
下で待ち構えていたユキの男根が、敏感に疼く秘部を押し広げた。
逃げようとするも、キスと逞しい腕に押さえ込まれる。
「ぷちゅ……♡」
亀頭がぬるりと沈み込む。
「……っ、……〜〜〜……♡♡♡♡♡!!」
視界が白く染まる。
巨大なそれが押し込まれる。
(でかい…!裂ける…!?怖い、抜いて……!!)
(入ってくる…嬉しい…嬉しい…!!)
恐怖と、歓喜。
相反する感情は、塞がれた唇の奥で甘く溶けていく——
「きっつ……」
狭い膣に己を捩じ込まんとするユキの額に、汗が浮かんでいる。
「ごめ、苦しい…?だいじょぶ…?」
気遣うハルに、ユキは答えない。その代わり、噛み付くようなキスを。
ハルは抗うように彼の胸を叩くが——
「んっ……ん……♡」
甘く蕩けるキスに、気力はすぐに奪われる。
さらに敏感な胸を弄られ、快楽の波が再び押し寄せた。
その瞬間ーー
ずず……とユキのものが、また少し、沈み込む。
(痛いっ……こわい……でも……!)
目の前のユキは、ひたすらに自分を求めている。
その事実が、どうしようもなく愛おしかった。
(もう少し、頑張ろう……!)
震える腕をユキの首へそっと回し、噛み付くようなキスに応じる。
「ん………っ、ん………!」
舌を絡め合う合間に、恐る恐る腰を揺らしてみる。
すると、ほんの少しずつ、奥が柔らかくほぐれていくのを感じた。
愛液のぬめりが絡まり、少しずつ、少しずつ——
(ユキ、好き……愛してる……)
いやらしく水音を立てながら、徐々に奥へと迎え入れる。
「んんっ……っ♡」
その時だった。
耐えきれなかった膝が、がくりと崩れ——
「ぁ、———っっ!!」
ぐちゅっ……!
一気に奥まで突き上げられた。
「ひ……っ!!!!?♡♡♡♡♡♡」
瞬間、目の前に火花が散る。
腹の奥を埋め尽くすほどの熱が、ハルの内壁を無理やり押し広げた。
(やば……なんだよこれ……!!)
(でかすぎ……っ、苦しい……!!)
「か、は……!!」
膝が崩れ、自重でさらに奥へと沈み込む。
膣奥の限界を超えて、ユキの形を刻まれる。
長さも、直径も——規格外。
あまりの衝撃に、頭が真っ白になる。
「っ……!!」
ユキの肩にしがみつく手が震える。
腰が、ガクガクと揺れた。
苦しい。けれど、その苦しさすら、甘く蕩ける感覚へと変わっていく。
「はぁ……」
奥深くまで包まれたユキが、喉を詰まらせたように息を吐く。
苦しさに耐えているのは、ハルだけではなかった。
「……入ったよ、全部」
喉奥をくすぐる、低く甘やかな囁き。
「うぅ……っ!!」
愛しげに抱きしめられ、そっと頭を撫でられる。
震える身体ごと、愛おしむように包み込まれ——
(やっと……ひとつになれた……)
(幸せだ……)
ハルは滲む瞳でユキを見上げ、唇を重ねる。
『運命の番』 によるキスは、麻薬のようだ。
「んっ……、ん、ん……♡♡」
唇を吸われ、舌を絡め取られるたび、甘い痺れが背筋を駆け上がる。
夢中でキスを貪るうちに、奥を圧迫する苦しさが、じわじわと快感へと変わっていく。
馴染んでいく。
番の形に、ゆっくりと。
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