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94.未来への約束***
「…ちゅーがいい」
「そう来たか」
『前か、後ろか』に対するハルの回答に、ユキは苦笑しつつ、再び深く舌を絡めた。
いつもと少し違う甘味を感じて、ハルは顔を顰めた。
「甘い…」
「でしょ?」
自分の乳の味に、少々複雑な気持ちになるが…
あっという間に、情熱的なキスに夢中になる。
とろり、とろりと、思考が溶けていく。
キスの最中、ユキの手がハルの股間へと滑り落ちた。すでに潤んでいたそこを、ユキの大きな掌が掴み、大切なものを扱うように優しく扱き上げる。
「ん、あぁ……っ! ユキぃ……っ」
「ハル、いっぱい気持ちよくなって」
ユキの親指が、溢れ出る蜜を擦り込むように亀頭をなぞる。胸の先端を吸われる刺激と、ペニスを力強く握り込まれる刺激が、ハルの脳内で火花を散らす。
パピーに与えるべき乳を出しながら、下半身は番との交わりを求めて、浅ましく立ち上がっている。オメガとしての本能が、理性を塗りつぶしていく。
「あ、ぁ……っ! ユキ、もっと、強く……っ」
ハルは自らユキの首に腕を回し、その唇を求めた。
「母」としての顔は、今、寝室の床に脱ぎ捨てたパジャマと一緒に置いてきた。今はただ、一人のオメガとして、愛するアルファにすべてを喰らわれたい。
「子供たちも愛してるけど……でも、今夜はママは俺のものだね」
ユキは満足そうに笑って、ハルのペニスにその長い舌を絡めた。ニュルリ、と久しぶりの刺激にハルは震える。ユキの口内が、熱を帯びたハルの中心を深く飲み込んだ。
「あ……っ、んあぁッ……!」
温かな粘膜に包まれ、執拗に吸い上げられる快感。パピーたちが吸い付くそれとは全く違う、自分を「雌」として屈服させようとするアルファの力強い吸引に、ハルは腰を跳ねさせた。
ユキはハルの反応を愉しむように、根元から先端までを丹念に愛で、空いた手はハルの張り詰めた胸を捏ね、溢れ出る「神聖なミルク」を白く柔らかな肌に塗り広げていく。
「あ……ぁ……っ、おっぱい、まだ出てる……っ。やだ、恥ずかしい……!」
「恥ずかしくないよ。これがハルが頑張った証だし……何より、すごくいい匂いがする」
ユキは喉を鳴らし、ハルの脚を大きく割り開いた。
露わになったのは、期待に震え、すでに自身の情欲でひっそりと窄まりを濡らしたアヌスだった。
ユキの指が、そこへ一気に沈み込む。
「あ……ッ! ふ、ぁ……っ!!」
内側の粘膜を力強く掻き回される感覚。久しぶりの侵入に、ハルの身体は喜んでいるかのようにユキの指を締め上げた。
「……すごいな。ここも、俺を待ってたみたいだ」
「……なあ、今日は、前からしてくれる?」
「ん、正常位ってこと?」
「そう……お前、バックからの方が多いじゃん。おれ、こっちの方が、好き」
「いいよ」
ユキのその瞳は愛しさと熱に溶けて…ハルの額へ、優しくキスをした。
芯まで愛され、信頼されている実感。ハルはこそばゆいものを感じながら、ゆっくりと脚を開く。
ユキは先走りに濡れた自身のペニスの先端を、ハルの窄まりへと押し当てた。
ソレは以前と同じく、大きく、黒々しい。
『全部入るのか』不安に思っていた頃のハルは、もういない。大丈夫だという、培ってきた確かな絆がある。
「……入れるよ?」
「…いいよ。ユキの、奥まで、全部入れて……っでも、ゆっくり…!!」
ハルが腰を浮かせて受け入れた瞬間、ユキの巨大な質量が、ニュププ…と入って来た。
「……ッッッ!!」
アルファの、熱い杭。ハルはユキの広い肩に爪を立て、声を殺した。
「ゆっくり、してぇ…!!」
「…頑張る…!」
大きなペニスの頭が、半分ほど埋まる。
ハルは苦しさで暴れそうになる自分の脚を掴んで、声を殺して耐え……
ぬちゅ、ずぷぷ…!
腰をゆっくり引き、また差し入れて…少しずつ深度を深めていく。
やがて…
「全部、入った…?」
「まだだけど……」
思いのままに腰を振り立てたいアルファの本能を抑え付けているユキの身体には、汗が浮かんでいる。
匂い立つ雄の香り。
これほどまでに重く、深く愛されている…
「もう、動くね…」
「アァ、…ッ!」
ユキが緩やかに腰を揺さぶるたび、ハルはベッドの上で震えた。アヌスの奥を容赦なく抉る、巨大な熱。
苦しい。キツい。大好き。それらがない混ぜのまま…
ずちゅっ、ずちゅ…っ!
「あ……ッ、あぁあ……ッ! ユキ、……ふか、い……ッ!」
一突きごとに、ハルの脳内は白く塗りつぶされていく。
ワーウルフの本格的な射精前のトロトロした先走りが膣内を満たす。それがピストンともにかき出され、ハルの尻と睾丸を濡らす。
「ハル…こんなに締めて、俺を折る気?(笑)」
「あ、……ん…!っ、そんなの、わかんない……っ!ッ!!」
ユキは快楽で乱れたハルの顔を余裕たっぷりな視線で眺めながら、己のペニスの根本を握り込んだ。握ったのは、膣内に収まらないまま膨らんだ亀頭球である。
ハルの狭い膣に、半分過ぎたあたりまでペニスを押し込めたが…
久しぶりのセックスで、母体に無理は掛けられない。
そう判断したユキは、先走りと愛液の混ざったヌルヌルを亀頭球に塗り、ピストンに合わせて手で扱き始めた。
「あっ、あぁ…!」
ハルはその一連の動作に気付いて、申し訳なさから目を丸くしたが…
ずぷぅ!
「んんぅ…!」
圧倒的な質量に、屈服させられる。
ずちゅっ!ずちゅ…っ!
「…っ!ァア…!う…ぅ…!」
ユキは、泣きながら揺さぶられるハルを見下ろして、ピストンと共に自身を扱きながら優越に満ちた笑みをこぼす。
「きもちぃ…!あぅ…ユキ…!!」
アヌスを蹂躙される快感に耐えきれず、ハルのペニスからも透明な蜜がこぽりと溢れる。
「あ……ッ、ユキ、……イク……っ!!」
「……っ、俺もだ、ハル……!! 一緒に、……ッ!!」
ユキがハルの腰を強く掴み、情熱的に突き上げた。
「あ……ッ、ぁぁ……ッ!!!」
授乳中の今、オメガの身体はヒートから解放され、望まぬ受胎の影に怯える必要さえない。その安心感に背中を押されるように、ハルは心を解放していく。
ドクドクと脈打つユキのペニスから、膨大な量のアルファの精が、ハルのアヌスへと直接叩きつけられる。一滴残らずハルという器を満たそうとする執着。
「ハル……、ハル……っ!」
ユキはハルの首筋に顔を埋め、獣のような唸り声を上げながら、何度もその内側に自身の証を注ぎ込み続けた。
ハルが快楽の波に呑まれそうになったその時、ユキが後ろからハルの身体を強く引き寄せ、そのうなじに顔を埋めた。半年以上前、運命に導かれるようにして刻まれた番の痕。
「ハル……、ここ、噛んでいい?」
独占欲に満ちた声に、ハルは背中を走る震えを感じ、内側をキュッと締め上げた。
「……いいよ、わけわかんなくなるくらい、……めちゃくちゃに、して……っ」
ハルは自ら髪を掻き上げ、うなじを晒した。ユキの熱い舌が、薄くなった傷跡を慈しむように、そして所有権を主張するように執拗に舐め上げる。
うなじを制圧される圧倒的な「支配」の感覚。それは、ハルにとって自分がユキのいる世界でしか生きられないと身体に刻み込む、究極の愛の形。
ユキの牙が、ハルのうなじに深く、重く食い込む。
かつての「宿命」としての痛みではなく、今はハルという存在をこの世界に繋ぎ止めるための、熱く、甘い「契約」の証だった。
「ィ……っ! ユ、キ……っ!!」
それは痛みというより、快楽に近かった。
うなじから脳髄へと駆け抜ける痺れるような刺激と、最奥を突き上げるアルファの猛烈な突き上げ。二つの熱に挟み撃ちにされ、ハルの意識は粉々に砕け散りそうになる。
ユキの瞳は金色に光り…かろうじて人型を保っているようだった。
力加減を間違えれば…
獣化したら…
食い破られ、頸椎を噛み砕かれる。
その、紙一重の可能性を感じながら、ハルはあられもない喘ぎ声をあげた。
(俺のこと、食べて…!)
(めちゃくちゃにして…!)
「っ、ハル……!……愛してる、俺の番……っ!!」
ユキが最後の一突きを、これ以上ないほど深く、ハルの子宮口を穿つように叩きつける。
直後、ハルの内側に、何度目かの熱い奔流が放たれる。
ドクッ、ドクドクッ……!!
「あ、……あぁぁあああッ!!!」
注ぎ込まれるユキの全てが、ハルという器を内側から満たしていく。一滴も逃さない、誰にも渡さない。そんな狂おしいほどの執着。
「はぁ、はぁ……っ、んんっ……!」
射精の余韻に震える身体。
繋がったまま、ユキはハルのうなじを離さず、何度も何度も、自身の証を注ぎ込み続けた。
ハルは、内側を脈打たせるユキの鼓動を、自分の一部であるかのように全身で受け止め…
やがて、長い、長い余韻の果てに。
ユキがゆっくりと牙を引き抜き、ハルの肩に額を預けて荒い息を吐いた。
「……ハル、大丈夫…?」
「ん、…………うん、……しあわせ……」
ハルは力なく笑い、ユキの背中に腕を回して引き寄せた。
うなじに残った新たな咬痕は、二人の絆が更新されたことを物語っている。
深い接吻を交わした時、ユキの口内は、淡く血の味がした。
番の血となり肉となった自分に、ハルが満足した瞬間だった。
「ふふ…」
「…なんで笑ったの?」
「いや、今キスしたとき、血の味がしてさ…なんか、安心した。変だよな?」
「ああ…」
ユキは、そんなのなんてことない、というように前髪をかき上げた。
金色に光る瞳でハルを見つめ、その指をハルの唇へ押し当てた。
「変じゃないよ。俺たちワーウルフは、獲物の血を口にしながら、感謝する。相手の血肉と魂を糧にして、明日を生きる」
「あぁ…そっか」
「ハルは俺の一部になれて、嬉しい?」
「嬉しい…かも?」
話しているうちに自信を失い、疑問系になって小首を傾げたハルの口の中に、ユキは自分の親指を突っ込む。
「あが…!」
「俺も、ハルの一部になりたい。食べられたい」
「もごもご…なんか、お前が言うと愛が重苦しいんだよなぁ」
ハルは歯並びを撫でてくるユキの親指に困惑しつつ、軽口(?)に付き合っていたが…
思い切って、えい、とその指に歯を立ててみた。
「うっ…!」
ユキはうめき、股間を抑えてうずくまった。
「え?ごめん、大丈夫か?」
「……だいじょばない…ちんちん痛い…」
「え?…え?」
突然、ぐるんと視界が一変。ベッドに押し倒され、ハルは目を白黒させる。
「はぁ…ハル、急に噛んじゃダメだよ……♡反則…♡」
「え…?…お前の変態スイッチそこだった、の…?」
ハルの尻に、ごり、と押し当てられる、巨大なアレ…
さーっとハルの血の気が引いていく。
「責任取ってくれるよね?」
「ちょ、待て…!怖いって…!!」
ちゅむ、とハルの秘部に、ユキがペニスでキスをする。
「あぁッ…!♡ばかばか!もう終わった…ァアッ、♡」
「ん、大丈夫、俺まだ行けるよ」
「このバカ犬…!!!…ッうァア♡」
ずむむむ…と押し入ってくる巨大な熱量に、再び喘がされるのだった…
***
事後の気だるい熱が残る中、ユキはハルを背後から包み込むように抱き寄せた。
ハルのうなじに刻まれたばかりの、赤く熱い番の印。そこに優しく唇を落としながら、ユキが静かに口を開く。
「……ハル。パピーたちがもう少し大きくなったら、遠出をしよう」
ハルは、ユキの胸板に背中を預けたまま、心地よい疲れの中で目を細めた。
泣かされすぎて、すっかり目が腫れてしまった。
枕やシーツを被ってなんとか声は押し隠したものの、誰かにバレたのでは、とヒヤヒヤだ。
「遠出って……? 王宮の別荘とか?」
「いや、もっと遠くだ。お前の故郷、日本へ行こう」
その言葉に、ハルの身体がぴくりと跳ねた。驚いて振り返ろうとするハルの腰を、ユキの大きな手が優しく制する。
「ハルの両親に、まだ子どもたちを会わせてないし。ハルをここまで育ててくれた人たちに、改めて俺からも礼を言いたい」
「ユキ……。でも遠いし、ユキだって忙しいのに……」
ハルの瞳が、じわりと熱くなる。ユキはハルの髪を指で梳き、愛おしい微笑みを独り占めするように見つめた。
「構わない。ハルが愛した場所を、俺も愛したい」
二人は顔を見合わせ、クスクスと声を殺して笑い合った。
窓の外からは、夜明けを告げる鳥の声が聞こえ始めている。
長い長い物語を経て、ようやく辿り着いた、穏やかで何気ない夫婦の会話。
「…じゃあ、少し眠ろう。パピーたちが起きるまで、あと数時間は俺たちの時間だ」
ハルはユキの腕の中で、深く、深く安らかな眠りに落ちていった。
運命の番(つがい)として始まった二人の物語は、子供たちという愛の結晶を迎え、いま、確かな一つの家族になった。
眩しいほどの光に包まれたその寝室は、これからも続いていく二人の、幸福な日々の夜明けだった。
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