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第10話
なんなんだ、あいつ……
「イかれてる……」
満面の笑顔で心の底から本心を話していた様子の初音に満は恐怖を抱いた。
あんなに恋しそうに『死』を待ち望む男の姿に身震いする。それと同時にオメガが出産を重ねると死期が迫る事実に慄いた。
てっきりお金欲しさにこの仕事をしていると思っていたが、全く想像になかった理由に驚愕した。
それと同時に初音の深い闇を見た満は途方に暮れる。
初音は走り去ってしまった満を見て後悔した。
祈りをしていたせいか、気持ちが高揚してつい、自分のことを話し過ぎてしまったと反省した。
自分のこの願いが一般的に受け入れがたいことと分かっている初音だが、自分に強い嫌悪を抱く者なら応援してくれるのではと思ってしまった。
「……失敗したな」
手の中のロザリオを見つめながら呟くと、初音は溜息を吐いてポケットへしまった。
何事もなければ来週には発情期がくる。
一発で妊娠できれば良いが、経験上、それは難しい。平均的に三度目の発情期を迎えたぐらいに初音はいつも身ごもった。
「満様が三回も付き合ってくれるかな……」
オメガ嫌いに加えて、自分を良く思っていない様子の満へ初音は困ったなと、地面へ座って頭を悩ませた。
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