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78.幸せを永遠に(最終話)

〜リュカ視点〜 無事にアステルを見つけて、皆の元に帰るとアデルバード様がこちらに駆け寄ってきて僕とアステルを抱きしめてくれた。 「見つかったんだね」 「アデルバード様、皆見てますから」 「見せておけばいいといつも言っているだろう」 「お父様苦しい」 アステルが抗議すると、困り顔をしたアデルバード様が僕達から離れる。それからアステルを抱き抱えて、心配したんだよって話しかけた。 「お父様っ、僕っ天使さんに会ったのっ!それでねっ、お母様も天使さんに会ったことがあるんだってっ!天使さんってねお花の匂いがしてすごく可愛くてねっ、また会えるかな?」 アステルのクリクリとした琥珀色の瞳が輝きながらアデルバード様を見つめる。 アデルバード様もアステルの言葉になにか思う所があったのか、一瞬だけ難しい顔をした後に、また微笑みを顔に浮かべた。 「きっとまた会えるよ」 「本当?」 「ああ、きっとね。ほら、席に座って。今日はエレノア叔母様の結婚式なんだから、沢山お祝いをしてあげようね」 「はーいっ!」 僕とアデルバード様の真ん中でアステルはニコニコしながら席へと向かう。 それを微笑ましい目で見つめながら、この子が愛する人とまた出会えたらいいと心から思った。 出会いは一瞬で、その一瞬の出会いが永遠に変わることがあると僕は知っているから。 まだ幼いこの子には、自分の感じたその花の香りの正体も何もわからないだろうけれど、大きく成長していつの日かその子に出会える日が来たら祝福してあげようと心に決めた。 アデルバード様の顔を見ると、優しい顔をしてアステルのことを見つめていて、僕はその顔を見ながら幸せだなって思う。 愛しい人とその人との間に出来た宝物に囲まれて僕は今とても幸福で満たされていて、どんなに大変なことがあっても彼らが傍に居てくれれば頑張れるって思えるんだ。 3人並んで席に腰かけて、エレノアの入場までアステルの話を聞きながら待つ。 「さっきねっエレノア叔母様に会ったけどね、すっごく綺麗だったの」 「うん。とても綺麗だったね」 アステルの話に相槌を打っていると、入場の合図が聞こえてきて、アステルにエレノア叔母様が来るよって教えてあげた。 伴奏が流れ始めると、エレノアが入場してきて、花が舞うウエディング・アイルを進んでいく。並びあったエレノアとお相手を見つめながら、2人の幸せの門出を心から祝福する。 昔、アレンのことで泣いていたエレノアは今は大切な人を見つけて幸せそうに微笑んでいる。 あの頃はどうにかしてエレノアを励ましたいと思っていたけれど、きっとそれは僕の役目じゃなかったんだ。それを少しだけ寂しいと思いながらも、大切な義妹がこれから先笑って暮らして行けるならそれでいいと思う。 「エレノア叔母様とっても幸せそう」 「そうだね」 アステルが僕とアデルバード様の片手を掴んで自分の膝の上に持ってくると、それを重ね合わせて自分の小さな手で包み込んだ。 「僕もねっ、とっても幸せなのっ」 2人の温もりが伝わってきて、僕とアデルバード様はアステルを見つめながら微笑む。 「僕も幸せだよ」 「私もだ」 エレノア達の誓の口付けを見つめながら、この幸せが永遠に続けばいいと心から思った。 fin.

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