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第2話

 神 雅臣(じん まさおみ)が、その少年に出会ったのは、15歳の初冬だった。  ぱさぱさの髪に、青白い肌。  痩せて骨ばった身体。  何より印象深かったのは、その瞳だった。  ものを映してはいるが、脳まで、心まで届けてはいないまなざし。  そんな身体を、瞳を晒して少年は音楽室の床に転がっていた。 「起きろ、小室。そして、早く服を着ろ」  雅臣を連れて、校内を案内して廻っていた生徒会長の長田(おさだ)は、小室に冷たい声をかけた。 「あ、長田くん。それと、え~っと。神くん」  やけに間延びした口調には、感情というものが欠けていた。  まるで、人形のようだ。  彼の周辺には、使用済みのスキンが散らかしてある。  長田は顔をしかめて、命じた。 「服を着て、後始末をしろ。まったく……、売りもほどほどにしとけよ」 「へへっ。今日は、5千円も稼いじゃった」 「いいから早く!」 「解ったよぉ」  ふらりと半身を起こした空に、雅臣は手を差し伸べた。 「立てるかい?」  その時初めて、空の瞳に光が宿った。

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