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番外編① とある日曜日の風景

 行為後、ベッドでまったりと過ごしていると着信を告げる電子音が鳴り響いた。   「おい、電話なってんぞ……」  気だるい身体で隣をつつくと、恋人である雪哉は不機嫌そうに眉間にシワを寄せる。 「おいおい、イケメンがしちゃいけない顔してんぞ。早く出た方がいいんじゃねぇの?」 「……面倒くさい……」  思わず本音を漏らしつつ、仕方がないなとばかりに小さな溜息を吐いて、雪哉が気怠そうにサイドボードに手を伸ばし携帯を耳に押し当てた。  その瞬間――。 『あ! 萩原君、良かった〜。今、なにしてた?』 「い、いま? えっと……部屋で一人、だよ。何?」  「!?」  一緒に聞き耳を立てていた橘の耳に届いたのは、明るく元気な高い声。このキーの高さと独特のテンションは恐らく男じゃない。  それよりも! 今、確かにはっきりと部屋に一人でいると嘘を吐いた。  電話の相手は会話の内容からして恐らく最近マネージャーになったと言う女だろうが、二人きりの時間を邪魔された挙句に嘘を吐いたことが気に入らない。  「おい、誰からだ?」  聞いても、電話中だから答えが返ってくるはずもない。長々と喋り続ける女に、雪哉はただ相槌を打っているだけで殆ど会話らしい会話はしていない。だったらいっそ用があるからとか適当に理由を付けて断ればいいものを、何故かそれをしない。  電話に出ろと言ったのは自分だ。それなのに、女子だとわかったとたんに胸が騒めく。正直言って面白くない。  みっともないヤキモチだってのは自分でもわかっていた雪哉には雪哉の友達付き合いというものがあるし、それをどうこう言うつもりはない。  だが、女が雪哉の番号知ってると言うのが、堪らなく嫌だ。 しかも、なんで嘘を吐く必要がある? 自分といるのはそんなに恥ずべきことなのか?  モヤモヤとした感情が腹の底から湧き上がり嫌な気分が広がってゆく。自分がここまで心の狭い男だとは思わなかった。  裸の腰に腕を絡めて引き寄せると、雪哉がぎょっとしたような顔をしてこちらを見た。手で、止めろと合図され、邪魔だと言われたようで余計にイライラが募る。  モヤモヤのはけ口が見つからず、とにかく早く電話を切って貰いたくて橘はじゃれつくような仕草で雪哉の股の間に潜り込んだ。  そして、徐に萎えている雪哉ソレを手に取ると唇で挟み込んだ。  「……んな……っ!?」  刹那、雪哉の全身が硬直するのがわかった。込み上げる笑いをなんとか堪え、手で扱いてやりながら茎の部分を横から深く咥えてやる。  「な、なっ――っ!!」  「雪哉、電話。続けないと怪しまれるぞ。俺のことは気にしなくていいから」  口をパクパクさせて、目をこれでもかと見開きブルブル震える雪哉は、こう言う事態に慣れていないようで頭が真っ白になっているみたいだ。  少しずつ熱くなって形を変え始めたソレをきつく吸い上げると、頭上で雪哉が「は、ぁ」と小さくうめき声を洩らす。 『萩原君、どうかした?』  「な、なん……でもない……っ」  快感を押し殺して、上擦る声を必死に堪えている姿が面白い。構わず扱きながら吸い上げる。腰が僅かに揺れだして真っ赤な顔をした雪哉が涙目で止めろと訴えて来る。  「……っ、は、…ぁ、んん……っ」  はぁ、と雪哉が色っぽい息を吐いた。口の中にあるモノは今やはちきれんばかりに大きくなってその先端からトロトロと体液を溢れさせている。  「――っ、わかった! 10時にあの公園だね」  流石に我慢の限界だったのか、雪哉は早口でそう言うと慌てて一方的に電話を切った。  「おい、今日は俺と一緒に過ごす約束だっただろうが」  「~~誰のせいだと! 電話中だったのに……バレたらどうするつもりですかっ」  「エッロイ声洩れてたもんなぁ。けど、嘘つく方が悪くね?」 「それは……っ、だって……」  真っ赤になって怒りに震えていた雪哉は、正論をつかれて勢いを失った。 「言えるわけねぇよなぁ? 直前まで先輩とエッチなことしてました。なんて」 「……ッそうですよ……言えるわけ、ないじゃないですかっ」 「俺はバレても構わねぇけどな」 「……っ」 「で? 10時になんだって? 彼女と公園デートすんの?」 「ち、違いますよっ、みんなでストバスする事になったから、一緒にどうかって、それで……もしよかったら先輩達にも声かけて欲しいって言われただけで……」 「ふぅん、ストバスか。いいね、面白そうじゃん」  たまには、久しぶりに身体を動かすのも悪くない。  「……でも、その前に……」 「ん? お、わっ」  言うが早いか雪哉が橘の肩を押して圧し掛かりベッドに沈めた。  「出かけるんじゃなかったっけ?」  「こんな状態で行けるわけがないでしょ。だから、僕をこんな風にした責任を取ってよ。センパイ」  今にも唇がふれあいそうな距離で囁き、すっかり熱くなった自身を橘のソレに擦り付けて来る。 「えっろ……なに、シたくなったのか」 「五月蠅い。誰のせいだと思ってるんですか」  怒りながらもいやらしく腰をくねらせながら煽るように触れて来る。  「……ふは、了解。どうなっても後で文句言うなよ?」 「言わない。……だから、はやく……っ」  煽ったのは自分だし、こうして触れ合うのは嫌いじゃない。むしろ、あの雪哉を此処まで開発してやったと言う優越感すらある。  苦笑しながら口付けて、強請るように腰を揺らす雪哉の身体を約束の時間までたっぷりと堪能することにした。

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