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その後(2)

  「ふふ、さてはがまんができなくなったな? まあほれたよわみというやつだ、くやしがることはない。おまえがぼくをあいしているということがさいだいの、」  勇者の言葉を聞き終えるより早く。  勇者の勃ち上がった震える中心を、魔王がパクりと口に含んだ。 「っ! あ、え、」  大きな口では、そこは一口でのみ込まれてしまう。たっぷり唾液を含んだ口内で散々舐めとられると、今度は吸い上げるように頭が動く。 「ひぐっ……う、あ、まって、ああ、」  じゅぶじゅぶと、濡れた音が響いていた。魔王はそこを舌先でもてあそび、そうして時折吸い上げる。緩急をつけた繰り返される行動にあっけなく負けた勇者は、腰を揺らして魔王の口内に精子を吐き出した。 「あ、いっ……! イった、あ、イったぁ……やめ……」  ぱたりと、勇者の体が背後に倒れた。  奥から精子を吸い出すように動いていた魔王は、口を離してようやく気付く。  やがてベッドに乗り上げると、勇者の狭い頬にキスを落とした。 「満足したか」 「……ふ、ふん……つよがるなよ」  勇者の視線が下がる。そこでは、魔王の中心が大きく膨らんでいる。 「つぎはぼくがする」 「……ダメだ」 「なんで! ぼくもしたい!」 「それは元に戻ってからにしろ」 「やだ。……さてはおまえ、子どもにイかされるのがこわいんだな?」 「そうじゃない」  勇者が魔王の肩をおす。しかしそんな力では魔王は動かなくて、どうにか魔王の上に行きたい勇者は「ちょっとたいせいをかえろ」と渋々口に出した。  控えめに言っても今の勇者は天使だ。なんとなく言うことを聞かなければならない気がして、魔王はすぐに体を持ち上げた。 「ここによこになれ」 「添い寝か?」 「え? ああ、うんそうそう。ぎゅってして寝て?」  きゅるんと愛らしい顔をして、勇者は首を傾げた。その角度に思わず撃ち抜かれた魔王は、そのままベッドに横になる。  打算的にやっていることも、遊ばれていることも分かっているのに、いちいち胸に刺さる。まったく悔しいが、これこそ惚れた弱みだろう。  かちゃりと音が聞こえた。自身のベルトを外されていると気付いた魔王は、すぐに勇者の手を掴む。 「こら!」 「いたっ!」 「っ、すまない!」  思いきり掴んでしまったが、相手は子どもだ。すぐに手を離した魔王は、心配そうに勇者を見ていた。  しかしそんな反応を見せると勇者の思うツボである。  味をしめた勇者はそれから、魔王の中心を取り出そうとするのを阻止されるたびに「いたい!」「うう!」なんて悲しい声を出しては、魔王の動きを止めていた。 「く、くそ……どこを触ってもどんなに優しく触っても痛いと言うな……!」 「いたいんだもん」  うるうると目を潤ませた勇者はとうとう、ぼろりとそこを取り出した。  よく見たことはなかったが、やはり大きい。今の勇者の口には入らないであろうそのサイズに、勇者は一瞬圧倒された。 「はぁ……分かっただろう。貴様には無理だ。ひとまずそこから、」 「あむ」 「ぐっ!」  勇者が先っぽに食らいつく。小さな口ではそこまでしか入らないのか、先っぽばかりを舐めては吸って、そして入りきらないところは両手で必死にしごいていた。 「あ、こら……やめろ……ノア……!」 「んぶ、じゅぶ、あ、へんなあじー」 「ああ、やめてくれ……」  勇者が魔王の中心を舐めている。そんな認識だけでも達してしまいそうなのに、目を開ければ幼い勇者にそこをしゃぶられているのだ。そんな現実に不覚にも、体がゾクゾクと昂っていく。  奥から溢れ出す先走りを飲み込むたび、勇者の喉が締まる。口内がきゅっと縮まって、魔王の快楽をさらに深めている。飲みきれない先走りと唾液が溢れると、勇者はそれを中心に塗りたくるように手を動かしていた。ぬるぬるとした感触に追い詰められては、魔王も抵抗なんかできない。  微かに腰がびくりと跳ねると、勇者がさらに吸いついた。上目に魔王を見つめて反応を確認し、的確に良いところばかりを刺激している。 「あ……ノア、口を、離してくれ」 「んー?」 「ああ、ダメだ、イく……ノア……やめろ……」  勇者の頭を遠ざけようと置かれた手に、うまく力が入らない。  射精したい。このまま出してしまいたい。勇者の全身に魔王の精液をぶっかけて、魔王の色に染めてやりたい。  ダメだ、この勇者は子どもだ。そんなことをする趣味はない。だけどこれは勇者だ。中身が同じなのだから問題はない。それでも見た目は子どもだぞ、倫理的にどうする。  ぐるぐるとそんなことを考えている間も、魔王の体は上り詰める。 「ノア、離せ……はっ……本当、に……」 「だひて」 「ん、うっ!」  誘うように言われては、我慢もできずに吐き出した。  勇者の顔に白濁が散る。ぶるりと震えた中心は勇者の顔のすべてを狙い、そうして首元までを濡らした。  盛大に吐精したというのに、魔王のそこはまだ萎えない。自身の顔についた白をペロリと舐めると、勇者はニヤリと勝ち誇った笑みを浮かべた。 「まだたってるぞ」 「っ……おい、今はそこに触れるな」 「いいじゃないか、いちどだしたんだ」  勇者は魔王の体を跨ぐと、魔王の萎えない中心を倒して、尻の間に擦り付けた。  そんな体勢になれば、魔王の中心もさらに固くなる。魔王は勇者の腰元に釘付けだ。これからどうなるのかと、期待するように見つめている。 「よく、見てろよ」  ぬち、と、勇者が腰を揺らす。魔王の達したばかりの中心が勇者の尻に挟まれて、勇者が動くたびに快感が走った。 「あ……ノア……」 「はぁ、ぼくもたった。……ほら」  あろうことか、勇者は腰を揺らしながら自身の中心を掴んだ。  手が動く。快楽を追うように、上下に激しく行き来する。 「あっ、ん、気持ち、これ、んぅ」 「……ノア……」  魔王がうっとりと見上げる先で、勇者はあられもなく乱れていた。 (可愛い……ノア、気持ちがいいのか……あんなに一生懸命に、擦って……)  魔王が上体を起こすと、勇者は簡単に押し倒された。覆いかぶさるように上に乗られては逃げることもできず、与えられるキスを甘受する。  ついばむように数回。唇をこじ開けられて、すぐにキスは深くなる。 「あ……ふ……」 「ノア……貴様の気持ちはよく分かった。貴様の欲求が落ち着くまで、俺様がその体を溶かしてやろう」  倫理観? そんなものはどうでもいい。魔王の中にはもう、勇者にみだらに誘われたという事実しか残っていなかった。  魔王の指が、魔王の先走りで濡れた勇者の後孔に触れる。そこに指を忍ばせれば、勇者は一気に背を伸ばした。 「ん! ぅ、アンセル……ふと、い……」 「ああ、子どもの体だからな。大丈夫だ、一本しか挿れない」  ぐちゅぐちゅとナカを探りながら、勇者に触れるキスを落とす。いいところを擦るたびに勇者の体が跳ねた。魔王は執拗にそこばかりを刺激していた。  勇者の中心を掴むと、勇者の体が大きく跳ねる。ナカが締まり、快感を伝えているようだ。 「アン、セルぅ! 擦っちゃ、や、イく、出ちゃう、あっ」 「出していい。俺様の目を見ろ。乱れた顔で、もっと誘え」 「イくっ、い、ああっ、イく、アン、せ、る……!」  最後は勇者から魔王に口付けて、魔王の手の内にあっけなく吐き出した。  魔王の手の動きが緩やかに変わる。数度擦ってそこを離すと、勇者の中心はぺたりと横たわり微かに震えていた。 「あ……まだ、気持ち、い……アンセル……」 「ノア……」  魔王は一度キスをして、勇者の頭を優しく撫でる。 「元の体に戻ったら覚悟をしておけ。全身を隅々まで舐め尽くし、三日三晩抱き潰す」  甘やかな声に言われたその言葉に、勇者は力なく「お手柔らかに」と返事をすることしかできなかった。  

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