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第19話
「と、言うわけで、きちんと考えるって事は伝えたけど、具体的にどうしたらいいんだろ?」
ある日の夜、純一はまた、哲朗と電話をしていた。哲朗はうーん、と唸って、今の課題を整理する。
『まずは、純一が男とも付き合えるかって事と、どちらの告白に答えられるかって事だな』
純一はしばらく一人で考えていたが、頭が爆発しそうだったので、恥を捨てて哲朗に全部話し、解決策を求めた。
哲朗はからかったりせずに聞いてくれて、真剣に考えている。
『純一、司や湊にスキンシップされるのは、嫌じゃないのか?』
そう言われて、純一は考える。確かに、人目がある所でされると恥ずかしいのでやめて欲しいけど、嫌かと言われればそうでも無い。
「恥ずかしいだけで、嫌じゃない。けど、それくらいのスキンシップって、友達でもするもんじゃないのか?」
純一にはまともな友達がいなかったからか、普通の友達というものが分からない。
いや、しないよ、と哲朗の呆れた声がする。
『せいぜいハイタッチとか、すごくテンションテンション上がった時に肩を組むくらいか? 少なくとも、俺はした事もされた事もないな』
純一は驚く。では、司たちのスキンシップは、少し度を過ぎている事になる。
(でも、嫌じゃないしなぁ)
『いっその事、スキンシップがどこまで許せるか試してみるとか? いや、お前が今の時点で嫌じゃないなら、もう男もいけるって事なのかも』
「えー……」
そんなぁ、と純一は眉を下げる。哲朗にそう言われてしまっては、その可能性で考えてみるしかないじゃないか。
『や、ホントに。付き合うって、相手をどれだけ許せるかだから。これは俺もエリカと付き合って、痛いほど感じさせられた。スキンシップの面からでも、試してみても良いかもしれないぞ。それに……』
哲朗は意味深に声を潜めた。
『他人に触られるのって結構気持ち良いしな』
「……っ! おま、からかってるだろ!」
純一が弾かれたように言うと、哲朗は笑う。
やっぱりからかわれていた、と純一は口を尖らせると、笑いを堪えた哲朗がごめんごめんと謝ってくる。
『まあまあ、とりあえず、人生はトライアンドエラーだ。色々試してみろよ』
そう言うと、哲朗はエリカと電話の約束があるから、と電話を切った。
「アイツ……半分楽しんでるな」
どうして純一の周りの人間は、純一をからかって遊ぶのだろう。一つため息をついた。
とりあえず、彼から問題解決のヒントを貰ったので、それを試してみるしかない。
まずは、相手をどこまで許せるか、だ。
純一はベッドに横になり、それをどうやって測るのか考える。しかし慣れない頭を使うと、すぐに眠たくなってしまうのが困りもので。
(だめだ、明日また考えよう)
純一はすぐに眠りに落ちた。
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