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誰よりも綺麗で美丈夫な不良さん③
「えー、もうすぐ体育祭の時期という事で、団分けが行われる。委員長、副委員長はくじ引きがあるので放課後視聴覚室へ向かうように」
僕のクラスの担任である木島 達吉 先生がHRでダルそうに連絡事項を伝えていく。そっか、体育祭。うちの学校は学年を超えての交流の為に、くじ引きで同じ色を引き当てた1年・2年・3年で1つの団として対抗戦をするらしい。
1年から3年全て、A〜Eクラスまであるから、赤・青・黄・緑・黒の5つの団に振り分けられるんだって。僕のクラス、どの団になるんだろう?団のTシャツは団の色をベースにするらしいから、出来れば黒とか無難な色がいいかも。
ーーー・・・なんて呑気な事を考えていた時期が僕にもありました。
団の顔合わせの為に行われた全校集会。
僕達Aクラスは黒団を引き当てる事が出来て、無難な色にクラス中歓喜してたんだけど、みんなが喜んでたの、どうやらそれだけじゃ無かったみたい。
黒団が集まっている場所に、田原先輩と中嶋先輩が居たんだ。
格好いい2人に憧れてる人って結構居るみたいで、心なしかソワソワした空気を感じつつ、予想外の出来事にポカンと口が開いてしまう。
そんな僕を気にも留めずペシペシと腕を叩いてくる匠。地味に痛いよ。
「ゆい!ゆい!団一緒じゃん!大丈夫?」
「だ、大丈夫、ちょっとびっくりしたけど・・・。でも同じ団だからってそんなに関わる事無いだろうし、今までと変わらないよ」
動揺している僕と匠を見て、田原先輩の話を知らない陸と静が心配そうに眉を下げた。
「2人とも、何の話してるの?嫌な先輩でも居た?」
「大丈夫、2人は俺らが守る」
訂正、静はなぜか好戦的だった。何故に?
「違う違う!こないだ僕が困ってた時に助けてもらった先輩が居ただけだよ」
「・・・じゃあなんでそんな顔してんの?」
僕が田原先輩の事好きって事、動揺した匠がバラしちゃう前に、と否定の言葉を慌てて出すと、静が急に僕の頬に片手を添えた。
ジッと観察するみたいに見つめられ、そのいつもと違う静の雰囲気に余計動揺してしまい、え?え?と困惑していると、静の手がグイッと誰かに取られて離れていく。
「何してんの?困ってんじゃん」
高い位置から聞こえてきた少しハスキーな声に、ビクリと肩が震える。この声、田原先輩だ・・・。
驚いて声の方を見ると、さっきまで少し遠くに座っていたはずの田原先輩が眉間に皺を寄せて静の腕を握っていた。え、なんで?どうしてココに??
「・・・友達の様子がおかしかったから心配してただけです。離してください」
静も田原先輩に負けず劣らず眉間に皺を寄せて、不機嫌そうに言い放つので、ポカンとしてしまっていた僕の方が慌ててしまう。
「ちょ、静!先輩にそんな言い方しちゃだめでしょ!先輩、すみません!彼は友達なので大丈夫です。ありがとうございます」
あわあわと2人を交互に見ながらそう言うと田原先輩はクイっと片眉を上げて、友達、ねぇ〜・・・。と呟き静の腕をパッと離した。
それにホッと息を吐き、何だかよくわかんないけど一件落着かな?と思っていると、大きな手がポンっと僕の頭に乗って、腰を折った田原先輩にグッと顔を覗き込まれる。
「ねぇお前、こないだの豆柴ちゃんでしょ?名前は?」
僕の事覚えててくれたの!?
・・・でも豆柴ちゃんとは?
っていうか、御尊顔が!!近い!!目が潰れちゃう!!!
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