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夢のような日々⑨
「僕はゆいが心配だよ・・・。頼むからもう少し警戒心というものを持ってほしいところなんだけど」
「それがゆいの良いところでもあるけど、俺もそう思うなぁ」
「うん、心配が過ぎる。ゆいは変態ホイホイなのか・・・?」
何故か3人で頷き合いながらそう言われる。なんだか解せない。
「えぇ〜、僕だって警戒心くらいあるもん。っていうか変態ホイホイって・・・みっくん先輩って変態なの?」
コテリと首を傾げるとまた3人で顔を見合わせてため息を吐かれてしまった。なんで?
「とにかく!田原先輩はともかく中嶋先輩にはちゃんと警戒すること!変な事されてないよね?大丈夫だよね?」
匠が今度は僕の顔やら胸元やら背中やらをペタペタ触りながら周りをくるくるし始める。
「ひゃわぁっ!匠、ちょっ、擽ったいよぉ!変な事ってなに・・・んぅっ、さぁ!」
匠があまりに色んなところをサワサワペタペタ触るから擽ったくて思わず身を捩っていると、何故だか静が唸りながらしゃがみ込んでしまった。
「・・・・・・むっつりスケベ!」
それを見て僕からススって離れた匠が小さな声で何か言いながら静の背中をスパンと叩いた。
なんだか良く分かんないけど助かった・・・!でもみっくん先輩って信用無いんだなぁ、なんてちょっと可哀想になっちゃった。助けてもらったからね、ちょっとくらいフォローしてあげよう。
変な人だったけど悪い人じゃなさそうだったし。
「・・・みっくん先輩、ちょっと変わった人だったけど困ってるのに気付いてサラッと手伝ってくれて優しかったよ。お腹空いてたみたいだったから飴ちゃんあげたら爆笑されたけど。笑い上戸なのかな?・・・まぁとにかく僕は本当に大丈夫!それより早く帰ろ?僕お腹空いた!」
「守りたいこのピュアピュア・・・」
何故だか静の頭をペシペシ軽く叩き続けていた匠の手を取って帰ろうとクイクイ引っ張ると、俯いて何かボソリと呟いてからパッと顔を上げた匠に今度は僕が引っ張られた。
「よし!ゆいがそう言うならそう言う事にしておこう、うん!僕もお腹空いちゃった!帰ろっかぁ」
「あ!ちょ、匠待ってぇ!」
にっこり笑った匠に腕を引っ張られながら教室を出た僕は、足が絡まりそうになりつつも匠の隣に追いついて一緒に帰路に着いた。
何故か項垂れている静を見て苦笑している陸、みたいな感じで後ろを着いてくる2人の様子が気になったけど、匠が大丈夫大丈夫!気にしなくても(どこがとは言わないけど)元気だから!って言うから、まぁ大丈夫なのかなってそのまま帰っちゃった。
匠が大丈夫っていうなら大丈夫だよね?
✱✱✱
寝る準備をした僕はいつものようにベッドにゴロンと横になって携帯を確認したら、"みっくん"とご丁寧に最後にハートマークを付けて登録されている名前が表示されていてキョトンとする。
なんだろ?って通知を開くと、今日一緒に撮った写真と一緒に"待ち受けにしていぃよぉ"とこれまた語尾にハートマークを付けたメッセージが届いていた。
うーん、待ち受けにするなら蓮先輩とのツーショットがいいなぁ、なんてちょっと失礼な事を思いながらもとりあえず"ありがとうございます"って返信を打ち込んだ。
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