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夢のような日々⑫
僕を包んでくれている体から何か話しているみたいな振動がしばらくしていたけど、いつの間にかその振動も無くなって包まれていた腕が少し緩んだ。
それがなんだか寂しく感じてイヤイヤってするみたいに自分から大好きな香りに頭を擦り付けると、小さく笑ったみたいな振動が伝わってきてまたさっきみたいにスッポリと僕を包んでくれた。嬉しい。
「結翔?起きてんの?寝かせてあげられなくなるからあんま可愛いことしちゃダメだよ」
上から降ってくる優しい声。
だけど何て言っているのかまだ頭は処理してくれなくて。
でもその声は大好きな蓮先輩のだって思って頬がふにゃりと緩んだ。
「ん・・・、れん、しぇんぱ・・・」
「・・・俺、ちゃんと言ったからな?」
あ、また体が離れちゃう。
離れたくないって握っていたシャツにギュッて力を入れたけど、まだ寝惚けている僕の力なんて無いに等しくて呆気なく離されてしまった。
思わず目を瞑ったまま眉間にギュッて皺が寄っちゃう。
そしたらまたクスリと笑った蓮先輩に眉間の皺を伸ばすようにツンツンと突つかれた。
「眉間に皺寄せても可愛いとか何事なんだよ」
ボソリと何かを呟いた蓮先輩はそのまま僕の唇をパクリと食べてしまった。
突然唇に熱い舌が這ってビクリと体を震わせながらも反射で唇を薄く開く。
そしたら褒めるみたいに頭を撫でられて、無意識に体に入りかけていた力がふにゃりと抜ける。
ぴちゃ・・・くちゅ、ちゅっ
いつもよりも優しく、だけど少しねちっこく水音を立てながら僕の口内を弄る熱い舌。
ずっと寝惚けていた頭が今度は快感に上塗りされて違う意味でボンヤリとしてきた頃、うっすらと瞳を開けるとジッと僕を見つめる瞳とパチリと視線が合った。
「ん・・・、おはよう結翔。目、覚めた?」
ちゅぷっ、と音を立てて唇を少し離した蓮先輩に吐息がかかるほどの距離でそう問いかけられて、その色香に元々赤く染まっていた頬が更に赤くなる。
「おはよ、ごじゃます・・・」
「ははっ、噛んじゃってんじゃん。可愛い」
まだぼんやりとした思考で返事をした僕を見て目を細めて笑った蓮先輩は僕の唇に触れる程度のキスを落とした。
寝起きから刺激が強いと思います・・・!
なんだか一気に目が覚めてパチリと瞳を開けると蓮先輩に
「今度は本当に起きたなぁ。寝惚けてる結翔もレアで可愛かったのにちょっと残念」
って言われて。
徐々に覚醒した頭で寝惚けて蓮先輩に物凄く甘えちゃったのを思い出してしまった。
思わず真っ赤になっている顔を両手で隠すと、また蓮先輩が嬉しそうに笑うから。
その嬉しそうな表情が見たくてソロリと人差し指と中指の間を開けて覗き見したらもっと笑われちゃった。
恥ずかしいけど・・・とっても恥ずかしいけど!でも蓮先輩が嬉しそうなので本望です!だいすき!!
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