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初めての外出デート⑥

 「ほら結翔、あー」  ケーキをひと口ずつ大事に食べていると、いつものように蓮先輩が僕の口元にケーキを差し出してくれる。  蓮先輩にあーんをされるのがよくある普通の事、みたいに刷り込まれてしまっている僕は違和感なく普通にカパリと口を開けて食べさせてもらった。  「ショートケーキも美味いだろ?」  「はい、すっごく美味しいです・・・!生クリームが甘すぎないから白桃の甘さが際立ってていくらでも食べれちゃいそうですっ!」  「だろ?この店のフードメニュー好きでバイト決めたんだ。たまに試作品とか食わせてもらえるし。そっちもひと口頂戴?」  「そうだったんですね。雰囲気もすっごく素敵な上に試作品が食べれるなんてとっても魅力的です・・・!蓮先輩がここの制服着て働いてたらすっごく格好いいんだろうなぁ」  思った事をそのまま口に出しながらチーズケーキをあーんと蓮先輩の口元に持っていくと、何故か頬を少し染めた蓮先輩がパクリとスプーンを口に入れた。  なんだか急に蓮先輩が可愛い。きゅんって胸が締め付けられちゃって僕の頬も勝手にピンクに染まってしまった。  「結翔は今日何時まで大丈夫なんだ?」  ケーキをペロリと平らげてミルクティーを飲んでいると蓮先輩にそう聞かれて、そういえば・・・と思い出した。  僕、誰にも帰宅時間伝えてないや。でも父さん、今日は夜ご飯作ってくれるって言ってたしゆっくりでも大丈夫だよね。  うんうんって勝手に納得した僕はニコニコしたまま口を開く。  「今日の夜ご飯は父さんが作ってくれるらしいので僕の帰りはいつでも大丈夫ですよ!蓮先輩は?」  「俺も今日はバイト入れてないし暇だよ。じゃあもう少し付き合ってくれるか?」  「はいっ!もちろん僕からお願いしたいくらいですっ!」  蓮先輩とまだ一緒に過ごせる・・・!凄く嬉しい。  破顔した僕の頭をぐしゃぐしゃってかき混ぜた蓮先輩は、じゃあ行こうって僕の手を取ってカフェを出た。  ちなみにお金は払わせてもらえなかった。慌ててカフェを出てから僕ちゃんと出します!って言ったけど「結翔にいつも美味い弁当食わせてもらってるんだからこれくらい払わせてくれよ」ってサラリと躱されてしまった。  僕、その時の蓮先輩の悪戯っぽい表情に思わず見惚れちゃって気付いたら頷いてた。蓮先輩には一生敵う気がしません・・・!  それにしてもこれからどこに行くのかな?って思いながら蓮先輩に手を引かれてるまま歩いていると、ズラリと色んなお店が並ぶ通りに出て思わずキョロキョロとしてしまう。  そんな僕を見て少し肩を震わせて笑いを我慢していたらしい蓮先輩は、色々見て回ろうって提案してくれたんだ。  「気になる店ある?」  「うーん・・・、そうですね。なんか全部お洒落に見えます!」  「ぶは・・・っ!くく・・・っ、そ、そっか。じゃ、とりあえず服でも見るか」  何故か僕を見て吹き出した蓮先輩にキョトンとしつつも、はいっ!っていい返事を返した僕は蓮先輩に連れられてすぐ横にあった服屋さんに入った。

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