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凄く甘くて少しだけほろ苦い⑥

 手を繋いだまま店が並んでいる通りに結翔を連れて行ったら、結翔が物珍しそうにキョロキョロし始めた。  それが初めて来る場所にソワソワする豆柴みたいで可愛くてさ。  微笑ましさに思わず笑っちまいそうになってすげぇ我慢した、のにさ。  結翔が瞳をキラッキラさせて店全部お洒落に見えるとか言うから思わず吹き出してしまった。  こういう場所、慣れてないんだろうな。俺が初めてってことかなって気分も上がる。ほんっと、可愛いよなぁ。  なんつうか、こう・・・優しい気持ち?になりながら、とりあえず目に付いた服屋に入る事にした。  そこでもソワソワキョロキョロしてる結翔の手を引きながら服を見てたんだけど。  あ、これ結翔に似合いそうだなとか、これ結翔が着たらぜってぇ可愛いだろうなとか。  視界に入るもの全部結翔に着てほしい服だった。  だからついたくさん選んで試着させちゃったんだけどさ、その中でも結翔のちっちゃい尻まで隠れるくらいダボっとしてるシンプルな真っ白なサマーニットに黒のスキニーを合わせたのがすげぇ良くて。  最初は可愛い感じが似合うと思ってそういうのばっかり渡してたんだけどさ、ちょっとした出来心で俺と似たような服着せたくなって渡したやつだったんだけど、見事に心臓撃ち抜かれてしまった。  あー・・・スキニー脱いだ姿で俺の部屋に置いときたい。恥ずかしそうに裾を下に引っ張りながらお帰りなさいって出迎えられたい。  なんて妄想を頭の中で繰り広げつつ、結翔が次の服を試着している間にサッサと購入。  告白受けてもらえたらぜってぇ家で着てもらうんだ。  いや例えダメでも付き合って貰えるまで押し続けるだけだから、早いか遅いかの問題で結局着てもらうのは決定事項だけど。  試着を終えた結翔がちょっと不思議そうに見てたけど、店を出るために手を取ったらふにゃっふにゃに笑ってくれてもう本当にクソ可愛かった。  もう俺、結翔とずっと手繋いで離さねぇわ、なんて。    その後はブラブラ歩きながら結翔の視線で気になる店をリサーチしながら色んな店に入ったんだけど。  アクセサリーが売ってる店では結翔に我儘言ってピアスを選んでもらったんだ。  適当に選んだやつでも結翔に選んでもらった物ってだけで俺はすげぇ嬉しいのにさ、結翔はめちゃくちゃ真剣に選んでくれて。  俺のことをたくさん考えてくれたんだなって思わずにやけた。  結翔の綺麗な瞳と同じ色のピアス。いつか俺の色も結翔の耳に飾りたい。  そしたら離れててもお互いの事感じてられそうだろ?  会計に行く時そんなふうに思いながら横目で結翔の耳を見てたらさ、また綺麗な真っ黒な瞳をキラキラさせた結翔がペアリングをジッと見つめてて。  付き合えたら絶対ペアリング贈ろうって心に決めたよね。  

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