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凄く甘くて少しだけほろ苦い⑤

 席に座ってからも結翔の可愛いは止まることを知らなかった。  メニューの内容が何なのか分からなくて困り顔の結翔も、俺が説明してんのをうんうんって聞いてる結翔も、ココを気に入ったってニコニコしてくれてる結翔も、一挙一動ずっと可愛い。  もう俺今日可愛いで溺れそうだ。  それにどさくさ紛れに成人した時の約束も出来て満足。  結翔と酒が飲める日が楽しみで今からニヤけてしまう。結翔はどんなふうに酔うんだろう?ぜってぇ可愛いよなぁ。なんて想像していたら結翔が約束だって小指を立ててた。  指切りをねだる結翔、本っ当にクソ可愛いよなぁ。  そんな結翔が愛おしくて、やっぱり今日ちゃんと告白しようって心に決めた。  デート3回目が告白のチャンス!みたいなネットの記事見たけど俺もう我慢出来る気しねぇし、一刻も早く俺だけのにしてしまいたい。  でも俺、告白なんてした事ねぇから何て言ったら良いのかイマイチよく分かんねぇんだよな・・・。  デートだけじゃなくて告白の仕方もググッとけば良かった。マズったな。  そんなふうに内心今すぐググりたくて仕方ない気持ちになってた俺だけど、優斗さんが持ってきてくれたケーキに瞳をキラキラさせる結翔を見た瞬間そんなのどうでも良くなってしまった。  やっぱ俺、もう結翔の事離してやれねぇだろうなって。一生俺の隣で今みたいに幸せそうに笑ってて欲しい。  ・・・まぁ何とかなるか。気持ちが大事だよな、多分。帰りに結翔を送った時に言おう。途中だと結翔、動揺して楽しめなくなっちまいそうだしな。  自己完結した俺は自分のケーキをすくって結翔に差し出した。  結翔、どれ食うか迷ってたから俺は結翔に食わせるの前提で違うの頼んだんだし、いつものように結翔に食わせてたら結翔が俺の事格好良いって言い出した。  格好いいなんて言われ慣れてる筈なのに、結翔に言われるとすげぇ嬉しくて。  少し顔が熱くなった。  でもすぐ結翔がまた柔らかいほっぺたをピンクに染めて俺を見てくるから、可愛い奴だなぁってにやけてしまう。  結翔と居ると自分が自分じゃ無いみてぇに顔の筋肉ゆるっゆるになっちまうなぁ。  ふと視線を感じでカウンターの方にチラリと視線を向けると、カウンターの中に居る優斗さんがあんぐりと口を開けて俺らの方を凝視してた。  何してんだあの人。  一瞬首を傾げそうになったけど、今は優斗さんの謎行動より結翔だ。  この後どれくらい一緒に居られるかちゃんと聞かねぇとな。  結翔の家族には悪い印象持たれたくねぇし。  ケーキを食べて一息ついた結翔に聞いたら帰りはいつでも大丈夫とか言われてさ、そんな言い方されたらもうこのまま俺ん家まで連れかえっちまいたくなんぞって衝動に襲われたよね。  いや、そんなことせずにちゃんとデートするけどさ。  衝動をなんとか心の内だけで抑えてこの後も付き合って欲しいって言ったら、すげぇ嬉しそうに破顔してくれた結翔の頭をいつもみたいにくしゃって撫でてカフェから連れ出した。あー、可愛い。  とりあえず結翔の好みをリサーチするためにも、色んな店に行ってみないとだよな。  ちなみに繋いでる手を離す気は無い。  コレ、デートだしな。    

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