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凄く甘くて少しだけほろ苦い⑪
今日は月曜日だから蓮先輩が渡り廊下を通らない日。
火曜日と金曜日はお昼休憩以外も蓮先輩の姿が見れて幸せなんだけど、月曜はお昼まで蓮先輩はおあずけ。
さっき別れたばっかりなのにもう蓮先輩に会いたくなっちゃって、授業中にも早くお昼にならないかなぁってそればっかり思っちゃう。
あっ、今授業中だった!って焦って机に向かい直して、またぼんやり蓮先輩の事思い出して・・・って繰り返しちゃってた。
そんな集中出来ない午前中を過ごしてやっとお昼休み!いつもよりお昼までの時間が長かった気がする。
蓮先輩に教室で待っててって言われてるから、いつもみたいにチャイムと共に飛び出さずに持ってきていたお弁当を2つ入れているランチバックを用意してソワソワしながら廊下を見ていると、無表情の蓮先輩がヒョコリと教室を覗いた。
「蓮先輩っ!」
嬉しくなって思わず破顔して蓮先輩に駆け寄ると、僕に気付いた蓮先輩が優しく笑んでくれて。
「お待たせ、結翔。行こっか」
僕が持っていたランチバックをサラリと持ってくれた蓮先輩は、空いている方の手を繋いでくれて、僕はそれがまた嬉しくって蓮先輩を見上げてハイッ!って元気に返事をした。
蓮先輩とお昼に一緒に歩くのは初めてだからなんとなく緊張しちゃった。何故かすれ違う人達にすんごく見られてたし。
でも蓮先輩と一緒に歩いていると嬉しくて、すっごく楽しくて、あっという間に目的地に辿り着いちゃうんだよね。
だから今日もあっという間に屋上まで着いちゃった。
蓮先輩と屋上で一緒にご飯食べる時間も大好きだから嬉しいけど、こんなふうに手を繋いで歩くだけでも幸せで。
もう少しだけあのまま歩いて居たかったな、なんて思っちゃった。
「今日も結翔の弁当楽しみだなぁ」
「今日はうずらの卵入りのつくねがメインですよっ!蓮先輩のお口にあったら良いんですけど」
「結翔の作ってくれる飯が口に合わないわけ無いだろ。いつもすげぇ美味いもん」
「えへへ・・・。蓮先輩にそう言ってもらえると凄く嬉しいです」
なんて、今日のお弁当の話をしながら屋上の扉を開けたんだけど。
「ゆ〜い〜くぅんっ!れ〜ん〜!遅いよぉ〜!」
プンプン!って頬っぺたを膨らませたみっくん先輩が屋上で僕達を待ち構えていた。
・・・・・・あれぇ?
「あ?なんで蜜樹が居んだよ」
「だって1人は寂しいじゃあん?俺だって蓮とゆいくんと一緒にお昼食べたいも〜んっ!」
「お前まだ次のお気に入り決めてないの?」
「え〜?そりゃあ、ねぇ?俺、ゆいくんに興味あるしぃ〜!」
「だぁからぁ!結翔は俺のだからその不純な興味を捨てろっつの!」
「えぇ〜?でもゆいくんは俺の方が良いかもだよ?ねぇ、ゆいくんっ!俺だって格好いいでしょう?」
唐突に始まった謎の口論に目を白黒させていると、急に話を振られて驚く。
「え?よく分かんないですけど、僕は蓮先輩が大好きなので蓮先輩が良いです・・・?」
思わずキョトンとしたまま思った事を素直に口から出しちゃった。
間髪入れずにそう答えた僕に満足そうな蓮先輩は、よく言った!って感じで僕の頭をクシャクシャって撫でてくれた。
それが嬉しくてまたえへへって笑ってたら、みっくん先輩が体育座りをしてイジイジし始めてしまって。
「なんだよぅ・・・!ちょっとくらい考えてくれても良いじゃんかよぅ・・・・・・!」
うーん、どうしよう。
でも僕、蓮先輩が大好きなんだもん。
何がなんだかよく分からないけど、蓮先輩が僕のナンバーワンのオンリーワンだし誰かと比べてって言われてもそりゃあ僕は蓮先輩を選んじゃうよねぇ。
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