緩く与えられ続ける柔い快感。 　甘やかすみたいにゆっくりとした刺激なのにどんどん気持ち良くなってきてしまって。 　必死に酸素を取り込もうと息継ぎをする間に、小さく鼻から抜けるような甘えた声が漏れ出てしまう。 　体からもすっかり力が抜けてくにゃくにゃになってしまっていて、蓮先輩の胸元に僕の体重全部寄せてぎゅっとシャツを握りしめていた。 　「はぁ〜･･･可愛い･･･。やめたくねぇ」 　ちゅぷ･･･って水音を立てて少しだけ離れた蓮先輩がポツリと呟く。 　･･････僕もやめて欲しくない、けど。 　いつもはお膝の上でちゅーしているから、蓮先輩との距離は隙間が開かないくらいピッタリとくっついている。 　でも今は腰を抱かれてはいるものの、身を捩るように蓮先輩に縋っているから体と体の隙間が空いているのがなんだか寂しくなって。 　───･･･もっと蓮先輩とピッタリくっつきたい。あの安心する腕の中に囲われたい。 　そんな欲のままに、僕はハフハフと息を乱しながらシャツを握っていた手を蓮先輩の背中へ回した。 　そのままぎゅってしがみついた僕は蓮先輩の胸元に顔を埋めて深く息を吸った。 　まだピッタリくっつけていないけど、さっきよりはくっつけた。 　大好きな蓮先輩の香りを胸いっぱいに吸い込んだ事もあって満足した僕は、はふぅ、と息を吐いてぐりぐりと額を蓮先輩の胸元に擦り付けた。 　「あー･･･もう本当に俺の結翔が可愛すぎて心臓痛い。俺、すげぇ理性試されてる気がする･･･」 　ぐりぐりと額を胸元に擦り付ける僕を固定するみたいにぎゅうって力一杯抱き締められて少し苦しい。 　でも蓮先輩も僕と同じようにくっつきたいって思ってくれてるのかもって思うと、その苦しささえも嬉しくて。 　腕の中でヘラりと頬が緩んだ。 　ずぅっと蓮先輩とくっついて要られたら良いのになぁ。 　───なんて思っていたら僕の携帯がメッセージの受信を知らせてきた。 　僕、蓮先輩と離れたくないんだけどなぁなんて思っちゃったんだけど、蓮先輩が優しく頭を撫でてくれて。 　 「結翔、メッセージ見ていいよ。家族からかもだろ？」 　あ、そうか、僕今おうちに帰る途中だったんだ。 　ハッて思い出した僕。最近こういうの本当に多いよね。蓮先輩が魅力的過ぎるのがいけないんだ･･･。 　コクリと頷いた僕は、ポケットから携帯を取り出してメッセージを確認すると兄ちゃんからで。 　『帰りにコンビニ寄って帰るけど、ゆいくん何か欲しいものある？お高いダッツのアイスでもなんでも兄ちゃんが買ってきてやるぞ！』 　だって。 　いや、嬉しいけども。ありがとう兄ちゃん。でも兄ちゃんの通知で蓮先輩とのぎゅータイムが終わっちゃったよぅ。 　うぐぐ･･･！って複雑な気持ちで兄ちゃんに返事を送った。 　『ありがと兄ちゃん！じゃあ兄ちゃんの奢りでダッツのイチゴをたくさん買ってきて！』 　･･････ちょっとくらい兄ちゃんのお財布に八つ当たりしても許してね！！ 　だって蓮先輩とのぎゅーもちゅーもダッツより甘くて幸せなんだもん。 　ダッツで補おうなんてたくさん食べなきゃ無理だよね？ 　───兄ちゃん、すぐに既読になって泣きながら任せろ！って言ってるスタンプ送ってきた。 　うん、なんかちょっとごめんなさいって気持ち。 　僕、多分すごく微妙な顔してたんだと思う。 　蓮先輩がどうした？大丈夫か？って心配してくれて。 　こんな凄くくだらない事で心配かけてごめんなさい〜！って気持ちでいっぱいデス。 　大丈夫です、兄ちゃんでした！って報告したら、そっかって僕の頭をポンポンって軽く撫でた後に蓮先輩が立ち上がった。 　兄ちゃんが帰ってくるような時間なら結構良い時間になっちゃってるはず。 　割と長い時間ちゅーに夢中になっちゃってたみたい。 　もっとたくさん蓮先輩と一緒に居れたらいいのになぁ、なんて。 　そろそろ帰えらねぇとなぁって言う蓮先輩にコクリと頷いて、僕はまた蓮先輩と手を繋いで隣を歩いて家路についた。 　バイバイする直前、凄く寂しくなっちゃったけど･･･蓮先輩が今日と同じくらいの時間に明日からも朝迎えに来るからって言ってくれて。 　明日からも蓮先輩と一緒に登校させてもらえるんだって一気に気分が浮上した。 　バイバイは相変わらず寂しいけど、朝の登校デートの約束ができるなんて･･･すごいっ！ 　この間のデートの別れ際みたいに、僕の頬にちゅって触れる程度のキスを落として行った蓮先輩の後ろ姿をじっと見つめる。 　･･････やっぱり寂しいから早く明日にならないかなぁ。