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第1話 小さくて可愛いコ <Side 阿久津

 週に1度のお楽しみ。  親からの仕送りで難なく大学生活を謳歌できる俺、阿久津(あくつ) 龍大(たつひろ)がバイトに(いそ)しむのは、この為に他ならない。  ギラギラのネオンが光り、ド派手な看板が連なる妖しげなメインの通り。  俺は、喧騒な空間を抜けて、人がまばらな繁華街の外れを目指す。  高級ホテルの名残であろう細かな彫刻があしらわれた外装には似つかわしくない雑に塗り潰された看板は、廃業からの経年を思わせる。  間口の広いエントランスは光量が抑えられており、外からの一見で“営業中”だと気付く者は少ない。  俺は、その薄暗いエントランスを迷いなく進む。  少し前に、教えてもらった穴場。  しっとりとした静かなBGMが耳に届く。  元はフロントであっただろう場所には、数台の受付機が並んでいる。  この店専用のアプリを起動し、予約時に届いたコードを読み込ませれば、部屋番号が印字されたカードキーが発行される仕組みだ。  出てきたカードキーを手に俺はエレベータで目的の部屋へと向かう。  ここは、男の娘ばかりを揃えた風俗店。  どうせ本番NGなら、奉仕してくれる相手が男だろうが、女だろうが、気にならない。  普通の風俗に比べれば、ここは安価な方。  俺的には、中途半端な高級な店より、こちらの方が好みのタイプに出会える。  俺の好みは、ずばり小さくて可愛いコ。  胸は別に大きくなくても、いい。  その点でいくと、男の娘も悪くない。  逆に、女装するコトに少しばかりの抵抗を感じて恥じらう姿が、俺の性欲を余計に滾らせたりもする。  店専用のアプリを利用し、希望の条件を入力すば、合致した相手を用意してもらえる。  もちろん、名前がわかれば指名も可能だ。  廃業したホテルを利用している分、部屋数は多い。  つまりは、待合室に通され、他の利用客とブッキングするなどという気不味(きまず)さはない。  その辺も、この店の利点だ。  部屋に入り、貴重品ボックスの中に携帯や財布を納め、シャワーを浴びる。  備付けのバスローブを羽織って、キングサイズのベッドに腰を据えた。

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