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春雷 10
「別にいいんだけど、仮に“ゆうちゃん”が橘だったとして、何でほっしーが代わりに来るんだ?どうしてそんなことほっしーにさせてんだ?」
橘の事が絡むと何故かムカつく。
「それは………」
なんでほっしーに偵察みたいなことさせんだ。
俺に用があるなら自分で来ればいいじゃねーか。
アイスなんかをだしに使かいやがって。
「友達なんだろ?……なのにどうしてパシリみたいな事させんだよ!」
「違うよっ!!」
何が違うんだ。
いくらカッコよくてモテるからと言っても、友達にそんな事させるなんてアイツ最低だ。
「………アイツ最低だ」
「相原くん、違うんだって!」
ほっしーがこんな必死になるのも珍しい。いったい何を隠してんだ。
「何が違うんだ。分かるように説明しろよ!」
そして、諦めたように……ため息を一つして、
「………頼まれたんだ」
重い鉛を吐き出すように、呟いた。
「やっぱり……」
「でも、相原くんが思ってるようなことではないんだ。」
「“ゆうちゃん”てやっぱ橘なのか?」
「………………うん」
そして、ほっしーはいつもの冷静さを少し取り戻し、静かに話し始めた⋯⋯────
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