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第4章 心をほどいて、心を結んで 1
熱で頭がおかしくなったのか、俺の身体はたった一つのことだけの為に突き動かされていた。
……橘に逢いたい
会える保証はないけど、あの場所しか思い付かなかった───そして、生徒会室の前にたどり着く。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
額にはうっすらと汗が滲み、身体中が熱い。
深呼吸をして、微かに明るい生徒会室のドアに手を掛ける。
ガチャッ⋯────
目の前には5日ぶりに見るアイツが居た。
「……あ…いは…ら!?」
机に向かい書類を読んでいた橘が俺を見て、一瞬眼を見開いた。
「……はぁ、はぁ、…おまえに、話がある…」
「こんな時間にどうしたんだっ?」
「てめーは俺をどうしたいんだ…近付いてきかと思えば突き放して、しまいには気晴らしとか言いやがる。俺の心をもてあそんでそんなに楽しいか……!!」
せっかく会えたのに、口を突いて出てくるのは文句ばかり。
本人を目の前にすると素直になれず、どうしても怒りばかりが膨らんでしまう。
「いきなりどうしたんだ。……顔真っ青だぞ。」
「うるせー!俺の質問に答えろ!!」
読んでいた書類を伏せ、ゆっくりと立ち上がり俺のとこまでやってきて、
「とにかく座れ。」
そう言って俺の腕を掴もうとしたけど、それを払い除けた。
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