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心をほどいて、心を結んで 14

今、こうして傍にいるのにまた苦しくなる。 でも、橘の心臓の音がドクドクと耳に響いて、目を閉じると自分の心音と重なり、ほんのちょっとだけ苦しさが消えていく気がした。 すると橘が抱きしめる腕に力を込めながら、 「……………ゴメン」 と、一言……苦し気に呟いた。 「二度と渚が嫌がることはしない……約束するから。だから………」 言葉って不思議だ。 単純な俺の心はたった一言で浄化されてく。 それが“好き”ってことなのかもな…… だけど素直になりきれない俺は、いつものような可愛くない物言いでしか返事ができない。 もっと素直になれたら…… そう頭では分かってるのに…… 「もういいっつーの。てめー…もう二度とすんなよっ!」 やっぱり恥ずかしくてどうしてもこうなってしまう。 だけど目の前の橘はそれでもホッとした表情でわかったよ…って柔らかく笑ってくれた。 それがすげーカッコよくてなんかこいつが俺を好きだなんて、今だに信じられない。 「………今、オレに見惚れてたろ?」 「う、うるせー!続きしねーなら帰るぞ!」 「バカ言うなよ、顔真っ赤にして言われても説得力ねーし。それに朝まで帰すつもりもねーよ。」 そう言い終わってすぐ、また俺は押し倒された。 「怒ったり、照れたり、忙しいなおまえは。 でも、好きなんだよ……どんな渚も。 ……それは信じて欲しい」 ────やっと手に入れたんだから……

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