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想いの証 9

そんな俺に橘はほっとした表情でありがとうと言い、そっと頭を撫でてきた。 そしてしばらくの沈黙のあと、橘はゆっくりと口を開く。 「……オレは黒瀬と付き合ってる。」 噂はやっぱり本当だったんだ。 でも今となっては、橘は俺のことを好きだと言ってくれてるからモヤモヤ感はあの時に比べたらずいぶんなくなった。 だから今は話を聞くことが先決と、おとなしくうんと頷いた。 「オレが一年の頃から好きだったらしくて、どうしても付き合って欲しいって言われた。」 「へー…そんな前から。」 「だけど、断った。オレには好きなやつがいるからって。」 俺……なのか、な? 「そんな顔するな。好きなのは渚に決まってるだろ?だけど、その時は渚の名前は出さなかったよ。」 「……そっ…か。」 「だけど、あいつはそれでもいいから付き合いたいと言い出した。 めんどくせーからほっとこうとしたんだけど、あることをネタにオレにまた迫ってきたんだ。」 ………なんだそれ 「あることってなんだよ。」

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