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想いの証 16
「さ…さてと、そろそろ帰ろうかな……」
こんな時はしらばっくれるに限る!
余計なこと言ったら、いつものように墓穴を掘るに決まってやがる。
「今、夕方に帰るって言ってたじゃねーか。今何時だよ。」
「いや……その。」
今はまだ昼にもなってない“午前中”ってやつだ……てきとーなこと言わなきゃよかった……
「誰だよ。言わなきゃ夕方になったって帰さねーぞ。」
「しつけー!しつけー!誰だっていいだろ?!」
このまま話してたら絶対にヤバいと思って、テーブルの上の携帯を掴み席を立って、そして逃げるように寝室のドアのとこまで行ったとこで腕を掴まれた。
「渚っ!逃げるほど知られたくねーやつなのかよ?」
「放せって。そんなことねーよ!」
腕を振り払おうとしたら、グッと引き寄せられ気付いたら目の前には橘の顔で、
「……オレより大事なやつなのかよ。」
至近距離でそんなことを言われた。
なんか…勘違いしてる?
つーか、ヤキモチ…?
「おい、放せよ!」
「誰だか言ったら放す。まぁ相手次第だけど。」
「はぁ?!何言ってんだよ、なんか勘違いしてねぇ?そんなじゃねーから!」
大事なやつなんて橘しかいないし、勘違いされるやつもいない。
「渚……じゃあ言って?」
ギュッと強く抱きしめながら耳元で囁くように言うからまたなんか下半身が反応しそうになっちまう。
こいつの声妙に色っぽいくて腰に力が入らなくなるんだよ。
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